1988年ぴあフィルムフェスティバル(PFF)でグランプリを受賞した塚本晋也監督が、翌年16ミリ・モノクロフィルムを再び活用して発表したパンク映画。
塚本晋也が脚本、監督、撮影を担当し、共演の不二稿京(クレジットは、藤原京)が助監督を務めた。
主演は田口トモロウ、共演は不二稿京(クレジット:藤原京)、叶岡伸、塚本晋也、石橋蓮司。
あらすじ
金属フェチである「やつ」は、金属を使う肉体改造を行った。しかし、サラリーマンと恋人が乗っている自動車と衝突し、脳に金属が刺さり超能力に目覚める。
サラリーマンが翌朝目を覚ますと、頬に金属のトゲが出ていて抜こうとすると、血が出てきた。膿んでしまったようなので包帯を張った。
彼が電車を待っていると、隣のOLが落ちていた金属に関心を持った。彼が気がつくと、OLはその金属を腕に巻いて、襲ってきた。彼は逃げたが、彼女は素早い。仕方なく彼の腕も金属化し、女を殴り殺した。
激しい痛みを伴いながら、男の体は徐々に金属化していった。顔面は金属に被われ、ドリル化したペニスは彼の恋人の局部を引き裂いた・・・。
雑感
正直言って、うるさかったが、ワンパターンなので眠かった。
この映画をサイバーパンクと表現している評論家もいたが、これはせいぜいメタルパンクだろう。
塚本晋也監督は、鉄に対して恐怖を抱くのか?それとも映画通りの鉄フェチなのか。普通は低予算ポルノを撮る16ミリで撮影しているのだから、やはり鉄フェチなのだろう。
女優さんの叶岡伸は、美人だし踊れそうだし、なんでも使えそうだった。少し好みのタイプだった。
スタッフ
脚本、監督、撮影、美術、照明、編集 塚本晋也(1988年ぴあフィルムフェスティバル・グランプリ受賞)
撮影、助監督 不二稿京
音楽 石川忠
キャスト
男 田口トモロヲ
女 不二稿京
医者 六平直政
眼鏡の女 叶岡伸
「やつ」 塚本晋也
浮浪者 石橋蓮司
***
「やつ」は復讐するため、電磁波を放ち、男を飛ばした。一方的な「やつ」の攻撃で男の態勢は崩れる。
しかし、浮浪者が何故か「やつ」をポカっと棒で殴ると、「やつ」は弱ってきた。浮浪者は、トドメを刺さずに去っていった。
再び、男をおもちゃにして、一生死なずにその姿で生きていくようにしてしまう。
金属と融合したはずの「やつ」の体に異変が起こった。体内の金属部分が錆び始めたのである。「やつ」に対して鋼鉄の男は反撃に出た。
そして、「やつ」と男の二人は、一体の金属の化物となった。「世界中を鋼鉄化し、やがて錆び腐らせよう」と化物は夜明けの街を疾走していた。