「踊るブロードウェイ」の続編あるいは外伝扱いでスタッフ、キャストを再び集結しタップ・ダンサーのエレノア・パウエルを主演にした作品だ。
脚本はジャック・マッゴワン 、 シド・シルヴァース 、 バディー・G・デシルヴァで監督はロイ・デル・ルース。
相手役は当時新進気鋭のジェームズ・スチュアートに交代し、三角関係の相手になる女優にはヴァージニア・ブルースが演ずる。
コール・ポーターの音楽を使ってアルフレッド・ニューマンが音楽監督を勤める。
あらすじ
アメリカ海軍潜水艦に乗り込む将校テッドと水兵ガニイ、マッシュの三人で、四年間の航海を終えてニューヨークに上陸する。ガニイは女房のジェニイとマラソン・ダンスで意気投合して結婚するが、翌日喧嘩をして海軍に入った。だから彼女が一人でどうしているか心配で仕方がない。
ジェニイは、夫の出発後娘を産んだが、今までそれを彼に打ち明けていなかった。クラブの従業員宿泊施設にダンサーを目指してNYにやって来たノラという娘がいた。ガニイに連れられ、テッド、マッシュはクラブへやってきたが、そこでテッドはノラと恋出会ってすぐ恋に落ちる。
ところが潜水艦を見学に来た美人女優ルシイは海に落ちた犬を助けてくれたテッドと知合いになる。公演主催者マッケイがお礼のためにルシイがテッドをデートに誘ったのを宣伝に利用した。しかしルシイは本気でテッドに恋をしてしまった。
テッドはマッケイに頼んで舞台にノラを採用してもらう。マッケイは宣伝のためルシイとデッドの婚約を発表しようとするが、彼女は真面目な恋愛がしたいので新聞に発表したら公演を中止すると脅す。
テッドは決心して海軍をやめた。ルシイとテッドの噂を聞いたノラは彼を避けた。その上、ノラは嫉妬からルシイに舞台から降ろされる。
ノラを舞台に出してやりたいテッドは一計を案じて初日を控えた日に、ルシイとの婚約を発表してしまった。これを見たルシイは、テッドの陰謀と知らず公演側が無許可で行ったものと思い込み、即座に降りてしまう。
テッドはマッケイに改めてノラを推薦し、彼女は主役を演じて、テッドと結婚した。一方ジェニイはようやく娘の存在をガニイに告白したが、その時にはガニイは妻の冷遇に憤慨して海軍に入隊した後だった。
雑感
機関銃ダンスはあまり見られないが、最後のエレノア・パウエルの7分間ソロダンスは圧巻。カメラは何度か切り替えているが、繋がりに不自然さはない。エレノア・パウエルの歌声はマジョリー・レインの吹替である。彼女はタップだけで無く、歌と演技をマスターすればもっと長く第一線で活躍できたものを。
歌で目立つのがジェームズ・スチュアート。コール・ポーターの「ヘイ・ベイブ・ヘイ」や「イージー・トゥ・ラブ」のような甘くて恥ずかしい歌を平気で歌っている。一種の黒歴史かも知れない。
脚本家を兼ねるシド・シルヴァースも美声を聞かせているが、「じゃじゃ馬億万長者」のバディー・イブセンと歌手フランシス・ラングフォードの出番が「踊るブロードウェイ」よりも少し多くなった。
ライバル役のバージニア・ブルースは「あなたはしっかり私のもの(I’ve Got You Under My Skin)」を歌って、アカデミー歌曲賞にノミネートされる。ルシー役は真剣だったために、テッドに裏切られてかなり可哀想な役だったため、それぐらいのご褒美は当然だ。この曲は戦後フランク・シナトラやフォー・シーズンズがリバイバル・ヒットさせた。
この映画を見る限り、1936年にドイツ問題は深刻ではなく、アメリカ大衆は戦争をする気は全くなかったようだ。
スタッフ
アソシエイト・プロデューサー ジャック・カミングス
監督 ロイ・デル・ルース
原作 ジャック・マッゴワン 、 シド・シルヴァース 、 バディー・G・デシルヴァ
脚色 ジャック・マッゴワン 、 シド・シルヴァース
作詞 コール・ポーター
作曲 コール・ポーター 、 ロジャー・イーデンス
音楽監督 アルフレッド・ニューマン
キャスト
ノラ・ペイジ エレノア・パウエル
テッド将校 ジェームズ・スチュアート
女優ルシイ ヴァージニア・ブルース
受付ジェニイ ユナ・マーケル
ガニイ水兵 シド・シルヴァース
マッシイ水兵 バディー・エブセン
ぺピー(ウェイトレス) フランシス・ラングフォード
ディングビイ船長 レイモンド・ウォルバーン
おかしな警官 レジナルド・ガーディナー
コーラス ザ・フォーサム
興業主マッケイ氏 アラン・ダインハート