1926年、日活で無声映画化された喜劇「足がさわった女」を東宝と市川崑監督がリメイクした作品。のちに大映でも増村保造監督と京マチ子によってリメイクされる。
東海道線上り特急の二等列車で、ある会社重役の足に触れるものがいた。それは美しい女の足だった。重役は女にすっかり気を許してしまうが、彼女は美人スリだった。 その頃、食堂車ではスリに美人はいないと小説家「坂々安古」が自説を述べているが、青年刑事が反論する。実は青年刑事が追っているのが、先の美人スリである。
二等列車で停電が起きその隙に重役は懐をすられてしまう。 青年刑事は休暇中だったが、見過ごすわけには行かず女スリを追って上りの普通列車に乗り換える。するとレールの故障で線路を歩く羽目になり、青年刑事と女スリは交代しながら老婆を抱っこして隣の駅まで運んであげる。実はその老婆もスリであり、二人とも財布をスリ取られてしまった。
女スリは法事のために下田へ帰る途中だったが、熱海で例の小説家と出会う。そして色目を使って法事の代金をせしめるのだが・・・
大体の筋は増村監督の作品を見ていたから知っていた。
越路吹雪はいいとして、池部良のコミカルな演技には目を見張った。スタント抜きの危ないシーンもあり、さすがプロだと舌を巻いた。
山村聰に至ってはいつもの重厚な役でなく、おカマっぽい役だったので、実に意外だった。彼の周りに似たような芸術家が大勢いるので真似をしたのだろう。
監督 市川崑
脚本 和田夏十 、 市川崑
原作 澤田撫松
製作 藤本真澄
出演
越路吹雪
池部良
山村聡
伊藤雄之助
沢村貞子
見明凡太朗
足にさわった女 1952 東宝