監督 久松静児
脚色 井手俊郎
原作 伊藤永之介
撮影 姫田真佐久
音楽 団伊玖磨
出演
森繁久彌 (吉井巡査)
三島雅夫 (署長)
十朱久雄 (主任)
織田政雄 (主任)
殿山泰司
三國連太郎
宍戸錠
伊藤雄之助
小田切みき
東野英治郎
岩崎加根子
飯田蝶子
杉村春子
多々良純
沢村貞子
二木てるみ (子役)
千石規子
裕次郎が入ってくるまでの日活映画は実に渋い。
ときに傑作を作る。
会津の田舎警察署で起こる群像劇。
事件らしい事件は起きない。
無銭飲食、違法労働斡旋、政治家の接待そして迷子。
森繁久弥巡査は、ずっと迷子の二木てるみの世話を見ている。
沢村貞子が経営する旅館が預かってくれることになったが、そこへ実の母が現れる。
しかし彼女は貧しくて名乗りを上げられないという。
そこで森繁が娘をちょっとだけ連れだし、新米巡査宍戸錠運転の車に同乗している母に見せてやる。
今の地方警察にこんな情があるだろうか?
いや、当時からほとんどなかったのだろう。
だから映画になったのだ。
モグリの労働斡旋業者を労働局と警察が取り合いをするあたり、昔から縦割り行政があったのだなと感じさせる。
一度は村娘岩崎加根子を違法労働から救ってやった三國連太郎巡査だったが、結局はやはり工場に安い金で売られていく。
三國が自分の無力を痛感するシーンも印象的。
なにしろ森繁久弥と三國蓮太郎が共演しているのだ。
出来が悪いわけがない。
警察日記 1955 日活