本の存在すら禁じられた未来社会を描くレイ・ブラッドベリの同名小説をジャン・ルイ・リシャールとフランソワ・トリュフォーが脚色し、フランソワ・トリュフォーが監督したSF映画にして英語劇。撮影はニコラス・ローグ

主演はオスカー・ヴェルナー、ジュリー・クリスティ、共演はシリル・キューザック。カラー映画。

あらすじ

機械に支配され、テレビによって全ての情報は伝達され、人々は考えずに言われた通りにしていればいい未来社会を描いている。そこでは、読書は禁止されている。新聞は全面をバカにでも読めるように漫画で書かれている。昔の書物が隠されてあるところを発見したら、消防士によって焼き捨てられる。

消防士モンターグは、彼は妻のリンダにそっくりの教師クラリスに出会う。何事にも無気力なリンダと比べると、教師であるクラリスは自分で考える力を持っていて、モンターグは関心を持つ。そして本の持つ魅力をクラリスから、モンターグは教えられる。
モンターグは、妻が寝静まった後、チャールズ・ディケンズ原作の「デヴィッド・カッパーフィールド」を読み、夢中になる。

ある日、命令により出動する。屋敷は図書館のようになっていてたった一人の中年の女が守っていた。モンターグは、彼女に見覚えがあった。クラリスと会ったとき、一緒にいた活動家の女性だ。彼女は警告しても、本の山から退こうとしない。やむを得ず、本と一緒に彼女も火炎放射器で焼殺した。

最近、夫に夜の相手をされなくなったリンダは、夫が本を大事に隠していることに気付いた。モンターグは、妻や妻の友人を馬鹿にする言動に至ったので、妻リンダは消防署に、夫が読書をしていることを密告した・・・。

雑感

レイ・ブラッドベリの作品は映画化が難しい。この作品も、成功したとは言い難い。小道具が現代的で近未来感が出ていなかった。かなり予算を抑えて作ったから、損もしなかっただろうが。

消防車が、昔ながらの立ち乗りスタイルなのは笑った。警笛を鳴らしながら走る消防車に消防士たちが乗っている。しかし、消防士は立っている全身が外から丸見えなのだ。悪路だったら、振り落とされる隊員もいるはずだ。

ジュリー・クリスティは、見事に二役を演じ分けた。ロングヘアーの妻の方は、全く魅力を感じない。まるでロボットのようだ。
一方、ショートカットで活動的なクラリス役は、非常に魅力的に見えた。

スタッフ

監督、脚本  フランソワ・トリュフォー
製作  ルイス・M・アレン
原作  レイ・ブラッドベリ
脚本  ジャン・ルイ・リシャール
撮影  ニコラス・ローグ
音楽  ベルナール・エルマン

 

キャスト

モンターグ  オスカー・ヴェルナー
リンダ/クラリス(二役)  ジュリー・クリスティ
消防隊長  シリル・キューサック
ファビアン  アントン・ディフリング
本の男  ジェレミー・スペンサー
アンリ・ブリュラード  アレックス・スコット

 

***

それを聞かされたモンターグは、辞職すると消防隊長に申し出た。しかし隊長に請われて、消防士としての最後の出動命令が出る。
ところが行先は彼の家だった。モンターグは、自分の本を焼き捨てるように隊長に命じられた。しかし彼は、火炎放射器で家まで燃やしてしまう。止めようとする隊長をモンターグは、火炎放射器を焼き殺す。

殺人犯として警察に追われる身になったモンターグは逃走し、クラリスが教えてくれた森に行く。そこは、「本の人々」が住む国だった。そこでは、人々は本を全て暗記していた。その人が亡くなっても、後継者に引き継いだ。モンターグは、エドガー・アラン・ポーの暗誦をはじめた。

 

華氏471 Fahrenheit 451 (1966) アングロ・エンタメ製作 英ランク配給 ユニバーサル+ATG配給 トリュフォーのSF映画

投稿ナビゲーション