ディズニーの名作アニメをエマ・ワトソン主演で実写映画化したミュージカル劇。
呪いによって醜い野獣の姿に変えられてしまった王子と、彼の前に突然現れた娘の運命を描く。
監督は『ドリームガールズ』のビル・コンドン。
あらすじ
フランスの城に住む王子は盛大な宴会を催していた。最中にあるみすぼらしい格好の老婆が現れ、一晩の宿を乞うた。王子は老婆を冷たくあしらうと老婆は美しい魔女へと姿を変えて、王子と家臣に呪いをかけ、王子は野獣のような外見を与えられ、家臣は喋る家具類にされてしまった。
魔法により、町の人々は王子のことを忘れ去った。王子は魔女の持って来た一輪のバラが残された。最後の花びらが散ってしまう前に、真実の愛を得たら王子と城は元の姿に戻る。
一方、ベルはヴィルヌーヴ村で父モーリスと二人で平凡な毎日を暮らしていた。女性が読書しない時代に、ベルにとって読書だけが退屈な毎日の中で唯一の娯楽だった。しかし村人たちはベルを「変わり者」扱いして、ベルは友人もおらず浮いていた。
ベルは村一番の肉体派、ガストンから言い寄られていた。ベルから見ると、脳筋男のガストンは一番嫌いなタイプだった。
ベルは、オルゴール職人として生計を立てている父モーリスがオルゴールを売りに市場へでかけるところのを見送った。
父モーリスは6月なのに森で雪に見舞われ、飢えたオオカミの群れに遭遇した。モーリスは懸命に逃げて、気づいたら古城の中に迷い込んでいた。城を出る際、庭に咲いていた白いバラを摘んで帰ろうとしたところを、野獣に牢に入れられた。
愛馬フィリップは、ベルの元へと懸命に戻った。ベルは父を救出しようとフィリップと古城へと向かった。
ベルが牢にたどり着くと、野獣が現れた。1分だけ牢に入る許可をもらい、ベルは野獣によって牢の扉を閉められる前に、父を牢の外へ押し出して自分が身代わりとなって囚われることを選んだ。
ベルは家具に変えられてしまった家臣たち(置き時計のコグスワース、蝋燭台のルミエール)に導かれ、寝室に移動した。寝室では衣装ダンスのガルドローブが話しかけてきた。
一方ガストンがいるところに居酒屋へモーリスが飛び込んできた。モーリスは、森の古城に娘のベルが囚われたので、助けてほしいと村人たちに声をかけた。ガストンは、モーリスに貸しを作ろうと考え、相棒ル・フーとモーリスと森の古城へ向かうことにした。
ベルは「決して覗くな」と言われた西の塔がどうしても見てみたくなり、こっそりと西の塔の野獣の部屋へと入っていった。そこでバラを見ていたら、そこに野獣がやってきて怒った。
ベルはその場から逃げ出して馬に乗って城を脱出したが、途中でオオカミの群れに捕まってしまう。追いかけてきた野獣が危機一髪のところで身を挺してベルを救った。ケガをして動けなくなった野獣を看病するため、ベルは城ヘ戻ることにした。
一方、ガストン、ル・フウとモーリスは、迷子になってしまった。怒ったガストンは、モーリスを沿道の木に縛り付けて、村へと帰っていった。
ベルは心を込めて負傷した野獣を看病した。傷の癒えた野獣は、ベルに図書室を案内し、食事も二人一緒に摂るようになった。彼らは毎日城で雪合戦をしたり、語らったり楽しく毎日を過ごす。
ある日、野獣は瞬間移動の本を見せた。どこでも好きな時間、好きな場所に行ける魔法だ。ベルが、彼女の生家を願うと、パリの生家へと瞬間移動していた。そこにいたのは、ペストで死にかけた母親と、幼いベルを連れて田舎へ脱出する父モーリスの姿だった。彼女はショックを受けてガラガラを拾って元の世界へと帰った。
村では、ジプシーのアガットに助けられたモーリスが酒場に行きガストンに抗議した。ガストンは、逆ギレしてモーリスを責めた。
一方、野獣はベルをその晩の二人きりの舞踏会に誘った。舞踏会はムード良く終わったが、まだベルは複雑な気持ちだった。野獣の愛の告白に対して、「自由がないままでは難しい」とベルは答えた。
野獣は、ベルを安心させようとして、モーリスの所在を確認できる魔法のGPS手鏡をベルに渡した。ベルが覗くとモーリスが村の酒場でガストンや村人たちから責められているところだった。
野獣はベルを村へと帰らせた。それは野獣が永遠に野獣のままで、人間に戻れないということを意味していた。
村へと戻ったベルは、父モーリスの言っていることが正しく、野獣は森の中の城に確かにいると村人たちに説明した。しかしガストンは、モーリスだけでなくベルも馬車の中に閉じ込めた。そして野獣を討伐隊を興し、古城へと向かった。
ベルは、馬車の中で父親に事情を話すと、父は馬車の鍵をこじ開けて、ベルが古城へ戻るのを許した。
ガストンと村人たちは、古城入口で家具や家庭小物たちの思わぬ奇襲を受けた。ガストンは西の塔にいる野獣の元へ向かった。その時、ベルが古城へと帰ってきた。ベルを見て野獣はガストンと戦い圧勝するが、ガストンを許した途端、後ろから撃たれてしまった。家具たちも一斉に動かないアンティークになった。ガストンは、古城が崩壊に巻き込まれ、地面に墜落した。
ベルが野獣にキスをすると、状況を見ていたアガットが魔女に変身し、野獣と部下たち、城にかかっていた呪いの魔法を解いたのだ。野獣は、心優しい王子の姿へと変わり、家具となっていた野獣の部下たちも元の姿へと戻っていった。
改めて別の日、城では村人たちを招待した舞踏会が開かれていた。真ん中にいたのはベルと若き王子だった。
雑感
フランスで68年ぶりに実写版「美女と野獣」が作られてわずか3年後、ディズニーが意地で実写映画化した。しかも大作ミュージカルである。
2時間あまりの映画は長いかなと思っていたが、意外と長くなかった。キャストが豪華なせいだろう。
音楽自体はアニメ版の主題歌が目立ち過ぎて、それ以外はまあまあ。
エマ・ワトソンは十分、女優賞の価値はあったと思う。
ユアン・マクレガーが目立たない役を演じていたのは驚いた。
一番目立っていたのは、格から言ってもエマ・トンプソンだった。
出演者にイギリス人俳優を中心に使ったのは、ズバリ的中したと思う。
キャスト
ベル エマ・ワトソン
野獣 ダン・スティーヴンス
恋敵ガストン ルーク・エヴァンス
ル・フー ジョシュ・ギャッド
父モーリス ケヴィン・クライン
ルミエール ユアン・マクレガー
コグスワース イアン・マッケラン
ポット夫人 エマ・トンプソン
チップ ネイサン・マック
ブリュメット ググ・バサ=ロー
ドガルドローブ夫人 オードラ・マクドナルド
スタッフ
監督ビル・コンドン
脚本エヴァン・スピリオトポウロス、スティーヴン・チョボスキー
音楽アラン・メンケン
製作デイヴィッド・ホッバーマン、トッド・リーバーマン
製作総指揮ドン・ハーン、トーマス・シューマッハ、ジェフリー・シルヴァー
撮影トービアス・シュリースラー
美術サラ・グリーンウッド
衣装ジャクリーン・デュラン