原作梶原一騎の漫画からアニメにもなった「空手バカ一代」が、実写版映画「けんか空手」シリーズになった。
「空手バカ一代」のタイトルを冠された第三部(最終回)は作画が影丸譲也に代わり劇画調になった頃の作品をもとにしている。
舞台は占領下の沖縄で、大山倍達が戦後の格闘技界(プロレスがアメリカから輸入され、柔道、空手、日本拳法が戦った時代)に参入して大暴れする姿が描かれる。
主演は千葉真一、共演は元大映スターの本郷功次郎、映画新人だった夏樹陽子。監督は前二作に続いて山口和彦

あらすじ

大山に対して悪口雑言を吐いた与那島六段の道場に押し入り、百人組手を行う。その時足元に油を撒かれるが、敵も同条件であり、百戦錬磨の大山の敵ではなかった。最後、大山は与那島を病院送りにするが、気は済むと腹は減る。その頃の大山は再び借金苦で困っていた。
そんなときプロモーターのトッド若松に声を掛けられ、沖縄で日系人グレート山下や柔道の藤田六段と組んでアメリカ人のプロレスラー達と試合をする。大山は八百長できずすぐカッとなって、勝ってしまう。ついに大山は、ギャングのボス劉鳳厳に命をつけ狙われる。日本に帰りたかったが、藤田はケガが直らず大山も子供達に金を盗まれて帰れなかった。ある日、大山は組織に麻薬漬けにされた麗子が自殺を図るのを止める。両親を日本兵に殺された麗子は大山を初めは信じられなかったが、子供達に優しくしてくれる大山を次第に頼りにするようになる。病んだ麗子のためにも治療代を稼がないといけない。
そこで組織は懲りもせず山下、藤田、大山に八百長を申し込み、山下達は乗ってしまう。大山はここでも凶器を持ち出すプロレスラーに対して目潰しをしてしまい、試合は大混乱して流れてしまう。怒った胴元の劉は山下を射殺するだけでは済まず、麗子も殺してしまう。
体力を回復した藤田とともに大山は今度こそ劉一派を叩き潰しに劉の屋敷に行く。雑魚は藤田が戦ってくれて、大山はボスに専念するがそこへ現れたのが、復讐の鬼と化した与那島だった。修練を積んではるかに強くなっていた与那島だが、大山には敗れる。劉鳳厳は「燃えよドラゴン」のような鏡の間に逃げ込むが、トリックを見破られついに大山に倒される。

雑感

与那島=石橋雅史が最初にあっさり倒されたときはガックリしたが、何の脈絡も無くラストでも現れ、嬉しいことにかなり強くなっていたことだ。さすが極真七段、いや劇中では六段だった。
モデル出身で映画デビュー作の夏樹陽子が綺麗だった。この後、化粧のしすぎでコッテリして近づきたく無いが、この頃は薄化粧で素材の良さを素直に出していた。

山下は原作では背の低い日系人(と言いつつ父は韓国人、母は中国人らしい)グレート東條、藤田は柔道の遠藤幸吉のことであり、共に戦後の日本プロレス界で大暴れした選手であり、特にグレート東條は日本プロレス界に良い外国人選手を送り込んでくれた。彼らと大山がプロレスの試合をしているあたりは事実である。
でも映画の真ん中あたりで子供達が出てくるあたりからフィクションになってしまった。
お子様や女性にも楽しんで欲しかったのだろうか。

スタッフ

企画 太田浩児
原作 梶原一騎 、 影丸譲也
脚本 掛礼昌裕
監督 山口和彦
撮影 中島芳男
音楽 鏑木創

キャスト

大山倍達 千葉真一
藤田修造 本郷功次郎
グレート山下  室田日出男
麗子 夏樹陽子
劉鳳厳 内田朝雄
与那島剛造  石橋雅史
トッド若松  南利明
湖城 中田博久
ディック・モーガン  リップ・タイラー
医者 近藤宏
レフリー ミスター珍
リングアナウンサー 高月忠
ナレーター 河合絃司

空手バカ一代 1977 東映製作・配給

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