華やかなサーカスの裏側を、ヘクト=ランカスター・プロダクションが英国から英国の巨匠キャロル・リードを監督に迎え、美しい映像で描いた作品。

脚本はジェームズ・R・ウェッブ、脚色はライアム・オブライエンで、撮影はロバート・クラスカー、音楽は現代音楽家マルコム・アーノルドが担当した。

主演はバート・ランカスター、共演はトニー・カーティス(ユニバーサル映画)、ジーナ・ロロブリジーダ、カティ・フラドー。カラーシネスコ映画

 

あらすじ

パリのサーカス「シルク・ディヴェール」では、ブリオネ座長を前にして面接が行われる。ローラと男性三人組が曲芸の面接を受け、安い賃金で何とか合格した。
ティノという体格の良い青年が、サーカスで器具の修理屋として働いているマイクを訪ねてきた。ティノの父は空中ブランコをやっていた。息子が後を継ぎたいと言うと、昔の相棒だったマイクに3回転の技(空中ブランコの乗り手が受け手のブランコに移る際、空中で三回転する)を習いに行けと命じられたのだ。マイクは墜落事故で片足を故障してから、空中ブランコを諦めていた。しかし、古くからの友人で猛獣使いのローザの勧めもあり、ティノを世界一のブランコ乗りにするため、三回転の練習を始める。

一方、ローラは3人の仲間を見捨てて、座長を説得しティノとマイクに加わることを承諾させた。座長としても彼らとの契約が済んでいない上に、ニューヨークにあるリングリング・サーカスのノース座長が偵察に来ているのだ。彼らに何としても出て行かれたくなかったので、彼女の色仕掛けに期待した。
彼女は、まず年長のマイクに粉をかけた。しかし、彼はティノと二人で3回転を実行して、ニューヨークで喝采を浴びたかったので断った。すると彼女は若いティノを誘惑する。たちまち落ちたティノは、ローラの参加を歓迎した。マイクは怒ったが、座長は空中ブランコを三人組で行うと決めていた。三人組では、横にローラがいるため、ティノの気が散って三回転を行えなくなる。

仕方なく、マイクはローラの練習を開始する。厳しい特訓を与えて、自分から辞めさせるつもりだ。
しかし、ローラはティノでなくマイクを愛しているとローザから教えられる。何故わかる?と尋ねるマイクに、ローザは私もそうだったからと答える。マイクは、その夜ローラと一夜をともにする。
翌日、ローザの夫チッキが、ローザとマイクの仲を疑って殴りかかるが、逆にマイクが抵抗したときにライオンの檻が開いて一頭のライオンが出てきた。そのライオンは、マイクを噛んだがサーカス団員に檻に戻される。ローラは、負傷したマイクを看病しに自分の宿に連れて帰り、手当をした。
ところが、そこへティノが現れて、マイクを殴りつけた。ティノに、ローラとのことがばれていたのだ。ティノとマイクの師弟関係は壊れてしまった・・・。

雑感

アクロバット映画と思わせておいて、最後はメロドラマで締めるとても粋で大人向きの映画だ。若い頃に見たときには、今ひとつわからない部分が多かったが、今なら完全にわかる。

キャロル・リードの采配もすごいし、マックス・カットーの原作(同性愛を含む)を見事に整理した脚本家の腕もなかなか。撮影のロバート・クラスカーのカラー映像も美しく再現されていた。

主演バート・ランカスターとチャールトン・ヘストン(地上最大のショウ)の演技力の違いがはっきりわかる映画でもある。41歳のランカスターは、昔取った杵柄でほとんどスタントを使っていない(彼は映画界に入る前は、サーカス界のスターだった)。
トニー・カーティスに関しては、配役が決まる前にモンゴメリー・クリフトの名前も上がっていたようだが、トニーが選ばれて本当に良かった。
ジーン・ロロブリジータは、この映画以外で美人に見えたことはなかったが、この映画に限ってラストシーンでいい女ぶりを見せつける。スタントなしのシーンもいくつかだが、挑戦している。
身を張って緊張感を伴う仕事だったから、良い仕事ができたのだろう。

シルク・ディベールは、パリにあった実在のサーカス団。スタントは、米国のリングリング・バーナム・べイリー・サーカスに人手を頼んでいる。

スタッフ

監督  キャロル・リード
製作  ジェームズ・ヒル
原作  マクス・カットー ”The Killing Frost”
脚本  ジェームズ・R・ウェッブ、ライアム・オブライエン
撮影  ロバート・クラスカー
音楽  マルコム・アーノルド

 

キャスト

マイク・リブル  バート・ランカスター
ティノ・オルシニ  トニー・カーティス
ローラ  ジーナ・ロロブリジーダ
ローザ(マイクの友人)  カティ・フラード
ブリオーネ座長  トーマス・ゴメス
マックス・ザ・ドワーフ  ジョニー・プレオ
チッキ  ジェラール・ランドリー
オット  ジャン・ピエール・ケリアン
ジョン・リングリング・ノース  マイナー・ワトソン
蛇男  シドニー・ジェームズ

 

***

座長は、今回のトラブルでマイクを解雇して、元の相棒オットーを加えて、ティノ、ローラ、オットーの三人組空中ぶらんこを継続するつもりだった。
本番になってティノ、ローラ、オットーの3人がリングに現れた。しかし、ブランコに受け手として現れたのはオットーでなく、マイクであった。空中に緊張感が走る。座長は、ネットを取り払ってしまって、降りてくるように命令したが、マイクはティノを挑発し、ティノもブランコから飛び出した。ティノは三回転し、その手をマイクがしっかり受けとめた。観衆から万雷の拍手が起った。
ティノは、一瞬でサーカス界のスターになった。ノースは、契約書を手にティノに走り寄った。しかしマイクは、アメリカに行ってからのことをオットーに頼んで、ここを辞めるつもりだった。ティノとコンビを組むことは、もう二度とない。サーカス小屋をマイクは出て行き、彼の後ろからローラが駆け寄り、手を繋いで歩いて行った。

 

空中ぶらんこ Trapeze (1956) ヘクト=ランカスター・プロ製作 ユナイテッド配給 松竹外画部+ユナイテッド国内配給

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