江利チエミが主演するサザエさん実写版の最終映画(第10作)。原作者長谷川町子の創り出した三大キャラクターの一人エプロンおばさんも前作「サザエさんとエプロンおばさん」から引き続き参加して、有終の美を飾っている。江利チエミの歌もいつもより多めで、楽しくほっこりしたエンディングを迎える。

マスオが課長になるという噂が上り、サザエはすっかりその気になる。花村専務夫人に東京婦人会(社会福祉団体)へ誘われて早速参加する。猛張り切りで児童福祉活動に勤しむが、専務夫人からはやりすぎと貶され仲人こそ立派な社会事業と言われる。そこで仲人を始めようとまずエプロンおばさんの息子の一郎と山中老人の孫みゆきを見合いさせ婚約まで持って行く。しかしマスオは課長になれず、サザエも仲人のやる気を失っていた。一方エプロンおばさんと山中老人は女性の見合い写真を返せ返さぬで揉めていた。そこへ見合いの相手だった鵜の目高助が新妻を連れて上京してきた。そこにサザエも一郎とみゆきの結婚の話を持って来る。サザエは成り行き上、仕方なく仲人を引き受けるが…

ギャグはいつも通りだが、いつもより見ていて幸せな気分が伝わって来る早撮りの青柳監督には珍しい佳作。
 
製作:杉原貞雄
監督:青柳信雄
原作:長谷川町子
脚本:笠原良三、蓮池義雄
音楽:神津善行

 

配役
フグ田サザエ:江利チエミ
フグ田マスオ:小泉博
フグ田タラオ:小串丈夫
イソ野波平:藤原釜足
イソ野舟子:清川虹子
イソ野カツオ:白田肇
イソ野ワカメ:猿若久美恵
エプロンおばさん:三益愛子
敷金勇:森川信
山中老人:柳家金語楼
山中みゆき:横山道代
花村専務夫人:藤間紫
 

これでサザエさん映画は終わりだが、4年後TBSのテレビドラマが始まる。サザエさんと舟は映画と同じ江利チエミ、清川虹子のコンビ。マスオは川崎敬三、波平は森川信に交代す。ワカメに上原ゆかりを起用したところが配役の妙だな。リアルタイムで見ていたが、なかなか好評だった。
67年にドラマが終了し、69年からついに加藤みどり主演のアニメ「サザエさん」が始まる。一方、江利チエミは舞台劇として「サザエさん」を演じ続けた。

福の神サザエさん一家 1961 東宝宝塚

投稿ナビゲーション