石原慎太郎原作のメロドラマ。当時の風俗がよく現れている。
酒井(宇津井健)は前途有望な映画音楽家、妻と子供に恵まれている。しかし実際は相当なプレーボーイ。
ある日、友人が恋に悩んだ末に自殺を遂げる。病院で友人に最期のお別れを言う際、「恋愛で死ぬなんて」と呟いた。すると「恋愛は死の理由になりませんの」と答える女医がいた。それが酒井と由紀子(叶順子)の出会いだった。
やがて二人は急接近していく。酒井は自分のヨットに由紀子を誘い、そのまま結ばれる。由紀子の周囲は二人の仲を妨害するが、かえって二人の結びつきは強くなる。しかし由紀子が関西出張のある日、、、
この時代に、心中ものが流行っていた。石原慎太郎が目先を変えて後追い心中を描いた。
それを大好きな叶順子主演で井上芳夫が監督した。
今から見るとやや陳腐に見えるが、当時は一級品のメロドラマだったことだろう。
フランス映画っぽいだとかヨットが出てくる辺りスタイリッシュという批評もあるが、それは上映当時のものだろう。
淡路恵子の夫だったフィリピン人クルーナー歌手ビンボー・ダナオが実際に歌うシーンは必見。
また映画「猫は知っていた」主演の仁木多鶴子が珍しく主人公の妻役で登場。
監督井上芳夫
脚色白坂依志夫
原作石原慎太郎
配役
叶順子
宇津井健
仁木多鶴子
瀧花久子
仲村隆
見明凡太朗
ビンボー・ダナオ
禁断 大映 1962