ネオ・リアリズモ時代の巨匠ロベルト・ロッセリーニの名作。11世紀頃の中世イタリアの聖人アッシジのフランチェスコが弟子を連れてサンタ・マリア・デリアンジェリで生活し、のちに弟子たちが別れてイタリア各地に布教の旅に出かけるまでを10のエピソードに分けて描いている。

脚本にはフェデリコ・フェリーニが参加して、多くの修道士役には実際の修道士を起用している。

私はフランチェスコの興したフランシスコ修道会と浅からぬ縁がある人間だが、この時代の弟子の話はあまり知らなかった。
とくに裸で登場して後に大活躍するジネプロと少しボケてから出家したジョバンニという二人の弟子が面白い。ジネプロはフランシスコ会最初の12人の兄弟にはいないが、確かに修道会に彼の伝記が存在する。

とくに病人に精のつくものを喰わせるため、ジネプロが家畜の豚を襲って豚足だけ奪う話は良かった。事が露見してフランチェスコに怒られて、豚の持ち主に謝りに行くがなかなか許されない。しかし最後は根負けして死んだ豚まで差し入れてくれる。フランチェスコは感謝してその豚を貧しい人に分け与える。

 

フランチェスコは清貧を旨として、原始共産制に近い生活をしていて、ロッセリーニの左翼思想とマッチしたらしい。
だけどフランチェスコはローマ教皇庁に忠誠を誓い、修道会活動を認めさせ、体制派だったことも事実だ。
その辺りをロッセリーニはどのように考えていたのかな。

 

 

監督 ロベルト、ロッセリーニ
脚本 フェデリコ・フェリーニ、ロベルト、ロッセリーニ
主演 ナザリオ、ジェラルディ

神の道化師、フランチェスコ 1950 イタリア

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