アカデミー外国語映画賞に輝いた作品。
一度は断念した過去の殺人事件を元上司の検事と再び掘り下げる定年退職した裁判所事務官の話。
アルゼンチンは最近推理小説で話題だが、これはサスペンス巨編といえる。
アルゼンチンの政権が不安定に揺れていた頃、主婦のレイプ殺人が起きる。
事務官エスポシトはうなだれる夫モラレスを前に怒りがこみ上げてくる。
一度は判事がもみ消した事件だったが、判事補である直接の上司イレーヌと部下パブロと協力して犯人ゴメスを捕らえる。
ところが、アルゼンチン軍事政権は敵対する勢力を抹殺するためにこの犯人をまた自由の身にして利用していた。
パブロは殺され、エスポシトとイレーヌは逃げて、25年が経った。
引退したエスポシトは事件を小説にしようと考え、イレーヌや被害者の夫のもとを訪ねる。
イレーヌははじめは反対するが、彼の気持ちを知り、協力する。
一方、被害者の夫モラレスはもう終わったことだ、帰ってくれとけんもほろろ。
帰途、その様子に疑問を持ったエスポシトはモラレスの元へ戻るが・・・
こんな恐怖政権ならサッチャー首相にいじめられても(フォークランド紛争)仕方がない。
今になってこの作品が国内でもある程度評価されたと言うことは、ブラジル同様にアルゼンチンにも多少ゆとりが出てきたのだろうか。
とはいえ、2001年にはデフォルトを起こすし、アルゼンチン国債は7%ぐらい付けているが。
瞳の奥の秘密は三重の意味がある。
まず犯人の被害者を見る目つき。
次に主人公エスポシトが検事イレーヌを見る目つき。
そして最後に検事イレーヌがエスポシトを優しく迎え入れる眼差しだ。
目つきだけだったら、ストーカーかも知れないが、それを受け入れる眼差しがあれば愛情になる。
監督 フアン・ホセ・カンパネラ
脚本 エドゥアルド・サチェリ フアン・ホセ・カンパネラ
原作 エドゥアルド・サチェリ
製作 マリエラ・ベスイエフスキー フアン・ホセ・カンパネラ
撮影 フェリックス・モンティ
美術 マルセロ・ポント・ベルジェス
音楽 フェデリコ・フシド
出演
リカルド・ダリン (Benjamin Esposito)
ソレダー・ビヤミル (Irene Menendez Hastings)
パブロ・ラゴ (Ricardo Morales)
ハビエル・ゴンディーノ (Isidoro Gomez)
ギレルモ・フランチェラ (Pablo Sandoval)
永遠のセルマ・リッター
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