1956年1月5日グレース・ケリーとモナコ公国レーニア大公は正式に婚約発表なされた。同年4月18日に御成婚なさったが、その日に合わせてこの映画はアメリカで公開されている。(シネマスコープ、イーストマンカラー)
映画の内容も王室の結婚問題である。お姫様が皇太子と身分の低い家庭教師の間に挟まって三角関係に悩む。果たして身分違いの恋を選ぶか、未来の王妃を狙うのか。
グレース・ケリーがお姫様役でルイ・ジュールダンが家庭教師役、間に挟まれる皇太子役はハリウッド映画初出演のアレック・ギネス。
おそらくグレース・ケリーが婚約発表してから映画に出ている暇はなかったのではないか。したがって前年のうちに御成婚発表を見込んで仕込んでいたんじゃないかと思う。しかし主要キャラが英国人とフランス人だから、黒字になったが思ったほどに儲かっていない。
実はこの作品が最終作ではない。結婚後もビング・クロスビーとフランク・シナトラと共演した映画「上流社会」が上映され大ヒットした。
Synopsis;
設定は中欧、民族主義運動が激化して第一次世界大戦の狼煙が上がる直前の1910年ごろ。先王の未亡人(貴族)が子供たちを育てているお城でのお話。
未亡人には美しい年頃の姫君とやんちゃな王子二人がいた。そこへ、いとこである皇太子殿下がお忍びで娘に会いに来られるという電報が届く。
未亡人は、この日をどれだけ待っていたか。再び我が家の血統から国王を輩出できる日を待ち焦がれていたのだ。
しかし姫は世間知らずに育てたために、男の人と話をしたことが殆どない。あるのは使用人だけだ。だから王太子との会話も全く盛り上がらなかった。
未亡人は最後の手段として、舞踏会で姫に子供たちの家庭教師を当て馬に付けて、グッと盛り上げて姫にも色っぽいところがあるところを皇太子に分かってもらおうとした。
ところが家庭教師がそれまで星にしか興味のない朴念仁だったので、美しい姫と一緒に踊るだけでポーッとしてしまい、勘違いを起こしてしまう。姫も殿方が女を愛する時、どのような顔をするか知ってしまった。
そして家庭教師は皇太子にあからさまな敵意を向ける。そのとき、姫にも事態が飲み込めた。
翌日、女王がやって来て息子である皇太子に首尾を尋ねる。一方、姫が家庭教師の部屋に行くと荷造りしている。彼は姫のために身を引く決心をしたのだ。姫は身分を捨てるから連れて行ってと頼むが、家庭教師は彼女のようなお嬢様が市井の生活に耐えられないことをよく知って居た。
彼女は泣いて馬車を見送っている。隣に皇太子がやって来て手を握り、我々は湖に居なければならない白鳥のようなものだと言う。陸地に上がるとガチョウと区別がつかないのだ。
Impression:
グレース・ケリーは顎のラインがはっきりしすぎて苦手だが、やはり上流階級(父はボートでオリンピック金メダル3個を受賞し、その後レンガメーカーを設立成功した名士である)の出身だけあって、気品がすごい。その最たるシーンがルイ・ジュールダンとのダンスシーンだろう。見惚れてしまった。
それと比べてアレック・ギネスの演技は硬い。ハリウッド初の大役と言うことで圧倒された感じがある。
王子のうち兄の方は、のちに音楽家として大成功を収めるヴァン・ダイク・パークスである。声楽隊に入っていた子供の頃は子役もやって居たそうだ。
最も気に入ったのはエステル・ウィンウッド。戦前からの名女優だが、良い味を出していた。
Staff/Cast:
監督 チャールズ・ヴィダー
製作 ドア・シャーリー
原作戯曲 フェレンク・モルナール
脚色 ジョン・ダイトン
撮影 ジョセフ・ルッテンバーグ 、 ロバート・サーティース
音楽 ブロニスロー・ケイパー
製作 ドア・シャーリー
原作戯曲 フェレンク・モルナール
脚色 ジョン・ダイトン
撮影 ジョセフ・ルッテンバーグ 、 ロバート・サーティース
音楽 ブロニスロー・ケイパー
出演
グレイス・ケリー アレクサンドラ姫
グレイス・ケリー アレクサンドラ姫
アレック・ギネス アルバート皇太子
ルイ・ジュールダン 家庭教師アギ
アグネス・ムーアヘッド 女王陛下
ジェシー・ロイス・ランディス 母ベアトリクス
ブライアン・エイハーン ヒヤシンス神父
レオ・G・キャロル 執事
ルイ・ジュールダン 家庭教師アギ
アグネス・ムーアヘッド 女王陛下
ジェシー・ロイス・ランディス 母ベアトリクス
ブライアン・エイハーン ヒヤシンス神父
レオ・G・キャロル 執事
エステル・ウィンウッド 叔母シンフォローザ
ヴァン・ダイク・パークス ジョージ王子(兄)
ヴァン・ダイク・パークス ジョージ王子(兄)
白鳥 (The Swan) 1956 MGM グレース・ケリーとレーニエ大公の御成婚記念映画