ハーマン・メルビル原作の名作米文学小説「白鯨」創作秘話。傑作の影には悲惨な実話があり、壮絶な人間ドラマがあった。

 
監督は名匠ロン・ハワード、主演はクリス・ヘムズワ-ス、ベンジャミン・ウォーカー
 

あらすじ

1850年、作家ハーマン・メルビルは、老人ニカーソンを訪れ、かつてエセックス号に起きた事件について尋ねる。
 
1819年、エセックス号は新米船長ポラードとベテランのオーエン一等航海士がギクシャクした関係のまま、マサチューセッツ州沖の捕鯨基地ナンタケット島を出港する。
全く鯨が捕れず、エクアドルで船を降りて話を聞くと、赤道付近で巨大な白鯨が出たと言う話を聞く。
ようやく白鯨を見つけるが、あざ笑うかのように尾ひれで一蹴され、エセックス号は沈没する。
ボートに分乗した後、飢えで一人一人死んでいく。それを残った船員は食べた。また誰も死ななくなったら、くじ引きで死ぬ人間を決める。船長が当たりくじを引くが、体の弱っていた従弟が代理で銃で頭を打ち抜き、皆の食糧になる。
やがて陸を見つけるが、そこは無人島だった。無人島によって体力を消耗の激しい3人を置いて、三艘のボートで再び出港する。途中で一艘がはぐれたが、二艘は南米の帆船に発見される。
 
三年後、生き残ったものはナンタケット島に帰ってくる。ポラード船長とオーエン一等航海士にはまだ仕事が残っていた。
聴聞会前の打ち合わせでオーエンは船主に船が座礁したことにしてくれと言われるが、彼は断固断り、聴聞会を欠席する。
その代わりポラード船長が聴聞会に出席して、事実を有り体に陳述する。それは島民が恐れていたことだった。
ポラードは再び捕鯨船長として海に出るが、ハワイ沖で座礁して船長を続けることを諦め、陸に上がってしまう。
オーエンは無人島に残した仲間を助けに行くと、三人が生き残っていた。その後は商船の船長として活躍した。
 
老ニカーソンはメルビルに全てを小説に書くのかと尋ねると、小説として脚色するとメルビルは答える。そして翌年、傑作小説「白鯨」が発表される。

雑感

 
実話を忠実に描くと、起伏の薄い平凡な映画になりがちだ。
ロン・ハワード監督だから、平均点の出来になると考えたが、その通りだった。
でも実録映画はそれでいいのだ。
結局、船長も一等航海士も欲に駆られて、ひ弱な装備で巨大な敵を相手にしてしまったのが、悲劇の始まりだった。
 
この話は秘話でも何でもなく、マサチューセッツのナンタケット島では公になり有名な話だった。当時は生き残りもニカーソン一人でなく、七人ぐらいいたようだ。
 
ニカーソンは最も若かったので、年老いてから若い作家メルビルに出会えたと言うことだ。

スタッフ・キャスト

 

監督 ロン・ハワード
脚本 チャールズ・リーヴィット
原案 チャールズ・リーヴィット、リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー
原作 ナサニエル・フィルブリック『復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇』

 
配役
オーウェン・チェイス – クリス・ヘムズワース: エセックス号の一等航海士
ジョージ・ポラード – ベンジャミン・ウォーカー: エセックス号の船長
マシュー・ジョイ – キリアン・マーフィー: エセックス号の二等航海士
トーマス・ニッカーソン – トム・ホランド: エセックス号のキャビン・ボーイ
ハーマン・メルヴィル – ベン・ウィショー
老年期のトーマス・ニッカーソン – ブレンダン・グリーソン
ニッカーソン夫人 – ミシェル・フェアリー
 

 

白鯨との戦い In The Heart Of The Sea 2015 ロン・ハワード監督作品 ワーナーブラザーズ配給

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