ディーン・マーティン、ジェリー・ルイス・コンビの「マーティン・ルイス・シリーズ」中でも一、二を争う傑作。
相手役は、後に「風と共に散る」でアカデミー助演女優賞を受賞するドロシー・マローンと、アカデミー主演女優賞(愛と追憶の日々)を受賞するシャーリー・マクレーン。
あらすじ
ディーン・マーティンが売れない漫画家であり居候のジェリー・ルイスがただの漫画オタク。一方同じアパートに住むドロシー・マローンがライバル漫画家で、同居人はコスプレ・オタクのシャーリー・マクレーン(ヒッチコックの「ハリーの災難」主演に続く第2回映画出演)である。
実はバットレディーの刺激的なコスプレをシャーリーにさせて、大ヒットコミックを書いていたのはドロシーだったが、出版社と喧嘩して契約を破棄する。その後を継いだのがディノだった。ジェリーが夜な夜な悪夢にうなされる内容を聞いてまとめてコミックをヒットさせた。
そんなこんなでシャーリーはジェリーにご執心になり、ディノはドロシーを誘い彼女もその肉体的魅力に悪い気がしない。
しかしジェリーの夢の中で語った数式をコミックに書いたからさあ大変。それは偶然、軍の機密事項だったのだ。米ソ両大国は彼らが出席するコスプレパーティーにスパイを送り込む。まずシャーリーが拉致され、ジェリーに魔手が迫る。
雑感
監督はご存知フランク・タシュリン。元々は戦前ブロードウェイのミュージカルで、一度白黒で映画化されている。リメイク版の音楽は、ディーン・マーティンが中心になって歌った。映像はビスタビジョンでイーストマンカラーを使用してるので、60年経っても美しい。
面白いところではアニタ・エグバーグがハリウッドに呼ばれてディーン・マーティンの絵のモデル役として出演している。ちょい役だったが、貫禄十分だった。
この映画のポイントは、使われているギャグをドリフターズが、人気番組「8時だよ!全員集合」などで真似していたことだ。だから、知らず知らずのうちに40代より上の世代は、この映画に感化されていた。
もちろんジェリー・ルイスもマルクス兄弟など諸先輩から芸を盗んで継承してきたのだから、誰もパクリなんてケチなことは言わない。
いつもは渋い助演のドロシー・マローンがディノにデレるシーンが見ものだろうし、シャーリーの物怖じしない演技に圧倒されよう。
ディノとジェリーは、人気コンビにありがちだが、芸風の違いから将来破綻するのが目に見えていた。それを超大物プロデューサーのハル・B・ウォリスが踏みとどまらせて、この四人を上手く組み合わせこの傑作をものにした。
スタッフ・キャスト
監督 フランク・タシュリン
製作 ハル・B・ウォリス
原作戯曲 マイケル・デビッドソン 、 ノーマン・レシング
脚本 ドン・マクガイア
脚色 フランク・タシュリン 、 ハル・カンター 、 ハーバート・ベイカー
撮影 ダニエル・L・ファップ
作曲 ハリー・ウォーレン
配役
売れない漫画家リック ディーン・マーティン
漫画オタクのユージン ジェリー・ルイス
売れっ子漫画家アビゲイル ドロシー・マローン
コスプレイヤーのベッシー シャーリー・マクレーン
出版社社長マドック氏 エディ・メイホフ
ソニア ザ・ザ・ガボール
アニタ アニタ・エクバーグ