製作 滝村和男
演出 マキノ正博
脚本 小国英雄
配役
中村歌右衛門 ・・・ 長谷川一夫
土生玄磧 ・・・ 古川緑波
渡辺篤
市丸
千葉早智子
沢村貞子
☆
歌舞伎の女形中村歌右衛門は江戸へ向かう途中、富士山を眺めるが見えない。
眼病を患い失明し掛けていたのだ。
しかしその場に居合わせた医師玄磧に救われる。
江戸に入ってから、歌右衛門は客からお座敷に呼ばれてもそれを断って、芸一筋に打ち込む。
一方、玄磧は水野家に仕官する。
宴会で仲間の医師が幇間の真似をするのを見て批判すると、主君は「玄磧も踊れ」と言う。
玄磧は「自分は踊れぬが、かつて救った歌右衛門がここで自分の代わりに踊る」と啖呵を切る。
ところが歌右衛門はお座敷で踊らないと誓っているし、今は舞台の真っ最中だった。
主君は怒って玄磧に切腹を命ずる・・・
☆
長谷川一夫が女形役で主演している。
女形でも男の矜持を持っているが、それもご恩のある先生のためならそれを捨てると言うのが主題だ。
長谷川の踊りが、この映画の見せ場だ。
動きは実際の歌舞伎と違い、なめらかで大衆芸能ぽかった。
古川緑波は華族出身だからかも知れないが、ゆったりした演技に余裕を感じた。
渡辺篤もお芝居にいい味を加えていた。
他では千葉早智子が女将の役で出てきた。
成瀬巳喜男と離婚したあとだろうか。
年増になってからの方がずっと美人だと思った。年増と言ってもまだ30歳だが。
開戦前夜、男の友情を描いた作品は検閲を通りやすかったのか。
もとネタは講談で、この映画は正月興行で大ヒットになったそうだ。
男の花道 1941 東宝 長谷川一夫主演