製作   滝村和男
演出   マキノ正博
脚本   小国英雄
配役
中村歌右衛門 ・・・  長谷川一夫
土生玄磧 ・・・  古川緑波
渡辺篤
市丸
千葉早智子
沢村貞子

 

歌舞伎の女形中村歌右衛門は江戸へ向かう途中、富士山を眺めるが見えない。
眼病を患い失明し掛けていたのだ。
しかしその場に居合わせた医師玄磧に救われる。

 

江戸に入ってから、歌右衛門は客からお座敷に呼ばれてもそれを断って、芸一筋に打ち込む。
一方、玄磧は水野家に仕官する。
宴会で仲間の医師が幇間の真似をするのを見て批判すると、主君は「玄磧も踊れ」と言う。
玄磧は「自分は踊れぬが、かつて救った歌右衛門がここで自分の代わりに踊る」と啖呵を切る。
ところが歌右衛門はお座敷で踊らないと誓っているし、今は舞台の真っ最中だった。
主君は怒って玄磧に切腹を命ずる・・・

 

長谷川一夫が女形役で主演している。
女形でも男の矜持を持っているが、それもご恩のある先生のためならそれを捨てると言うのが主題だ。
長谷川の踊りが、この映画の見せ場だ。
動きは実際の歌舞伎と違い、なめらかで大衆芸能ぽかった。
古川緑波は華族出身だからかも知れないが、ゆったりした演技に余裕を感じた。
渡辺篤もお芝居にいい味を加えていた。
他では千葉早智子が女将の役で出てきた。
成瀬巳喜男と離婚したあとだろうか。
年増になってからの方がずっと美人だと思った。年増と言ってもまだ30歳だが。

 

開戦前夜、男の友情を描いた作品は検閲を通りやすかったのか。
もとネタは講談で、この映画は正月興行で大ヒットになったそうだ。

男の花道 1941 東宝 長谷川一夫主演

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