英国人劇作家ノエル・カワードの戯曲をオスカー脚本家であるベン・ヘクトが脚色しエルンスト・ルビッチが監督した艶笑喜劇。
主演はフレドリック・マーチ、ゲイリー・クーパー、ミリアム・ホプキンス。
あらすじ
アメリカ人画家ジョージ・カーチスと劇作家トム・チェムバースは留学先のパリで同居している。旅行した帰りの列車で、広告デザイナーのジルダという米国美人と知り合った。話し合っていくうちにトムもジョージも彼女と恋仲となった。
彼女はプロデューサー的手腕によって二人の売り出しを支援する。しかしトムとジョージは互いに抜け駆けしようとして最後はジョージがトムを殴り倒す。友情に惹かれていたジルダはセックスしないという紳士協定を結んで、2人のアトリエに同居することとなる。
彼女を愛していた広告会社社長プランケッド氏は悔しがった。トムが書いた喜劇はジルダの宣伝でロンドン公演が開かれて、トムはロンドンへ旅立った。トムの留守中にジョージとジルダは結ばれる。
ジョージは俄然やる気になり肖像画家として成功しマンション生活を始めた。ロンドンの公演が終わりトムはパリに帰って来た。ジョージのマンションを訪れると、ジルダが留守番をしていた。そしてトムはジルダと一夜を明かす。
翌朝ジョージが帰って来た。ジョージは二人の様子から事情を察しトムを殴り倒す。争う二人を見てジルダは、置き手紙を残して消える。トムとジョージは失恋の憂さを酒に紛らわしているうちに再び親友に戻った。
独り身が寂しいジルダは裕福なブランケット氏とニューヨークで結婚した。ブランケット氏は得意先を招いてパーティーを催したとき、トムとジョージが乗りこんで来て、宴会でひと暴れしてみんなを追い返した。ジルダもブランケット氏との結婚生活に飽きたので自宅を飛び出した。ジルダはトムとジョージと再び紳士協定を結び直し以前の三人同居生活に戻った。
雑感
ノエル・カワード原作の艶笑喜劇。主役級俳優の豪華な顔合わせが楽しめる。
三人の男が一人の女性を争い、一番つまらないタイプが漁夫の利を得るかと思ったが、最後にドンデン返しがある。
ノエル・カワードは若い頃は二枚目俳優でゲイだったから、トムとジョージが同居する理由を深読みしてしまう。美男を侍らせるデザイナーのジルダはBL愛好家なのではないか?
こんな映画をコードに下でよくやったものだ。当時はヘイズコードがまだ厳格でなく、流動的だったためこのような映画を作ることができたので、2年後だったらダメだったろう。
ゲイリー・クーパーのロマンチック・コメディは「青髭八人目の妻」「教授と美女」があるが、こういうタイプのコメディは初めて。
フレデリック・マーチのコメディも「奥様は魔女」を見た以来だった。
エルンスト・ルビッチ監督作品「極楽特急」のときはメインの女優が二人いて、あまり目立たなかった方のミリアム・ホプキンスが本作で唯一の女性メイン・キャラなので常に光っていて、独特のデコッ八も魅力的に感じられた。
スタッフ
監督 エルンスト・ルビッチ
原作 ノエル・カワード
脚色 ベン・ヘクト
撮影 ヴィクター・ミルナー
美術 ハンス・ドライヤー
キャスト
画家トム・チャンバース フレドリック・マーチ
劇作家ジョージ・カーティス ゲイリー・クーパー
広告デザイナーのギルダ ミリアム・ホプキンス
広告代理店プランケット社長 エドワード・エヴァレット・ホートン
ダグラス氏 フランクリン・パングボーン
速記者 イザベル・ジュウェル
家政婦 ジェーン・ダーウェル
マックスの執事 ウィンダム・スタンディング