ローレンス・オリビエが監督・主演。
相手役にマリリンモンローを配した、ラブコメディーだ。
英国人監督が撮っているから、節度の利いた、メロドラマというところ。
こういう映画は、次にどうなるか、何もかもわかっているのだが、楽しい、観ていて飽きない。
それだけ役者の個性が、今と違って、光っているからだ。
1911年、ジョージ5世の戴冠式に招かれた、バルカン小国の摂政殿下。
彼(L・オリビエ)はバルカンの狐と呼ばれ、ドイツ、ロシアとイギリスの大国を手玉に取る、凄腕の冷血政治家だ。
戴冠式前夜、彼はロンドンの芝居小屋で美しいアメリカ娘(M・モンロー)を見初める。
早速、食事に誘い、物にしようとする殿下。
しかし、彼の手練手管も、アメリカ娘の前では野暮で下司な田舎物にしか見えない。
思わずひじ鉄を食らわされ、殿下のご機嫌はすこぶる悪い。
ところが彼の生い立ちを知るにつけ、彼女は彼の心の淋しい影に捉えられ、すっかり母性本能をくすぐられる。
彼はハンガリーの王子だったが、政略結婚で小国へ婿に出され、愛のない生活に耐えてきたのだ。
そしてその妻にも先立たれ、小国を守るため、ドイツとロシアに挟まれ、権謀術数を計る毎日だったのだ。
今度はマリリンの方が、一方的に彼を追いかける。
一度は袖にされてすっかりつむじを曲げていた、摂政殿下だが、やがてマリリンの特攻的愛情に心を開いていく、、、というか、最終的にはメロメロになってしまうのだった。
☆
ローレンス・オリビエが「ハムレット」でも「リチャード三世」でも観られない、軽い演技にチャレンジ。
個人的な意見としては、もう少し軽くても良いと思う。
それでも節度を守る辺りは、英国の意地だろう。
一方、マリリン・モンローは、かなりの好演!
ちょうど幸せな私生活を送っていた頃だと思う。
ローレンスほどの大物を落とすには、全身全霊を使って、躰中からフェロモンを飛ばし捲るしかないとばかりに、お色気発散だ。
アメリカ女優が数々いれど、情の深さでは右に出る者なし!
僕も参った(笑)
永遠のセルマ・リッター
映画を中心に趣味を語り尽くします!