実際に起きた保険金殺人事件を基にして、1936年にジェームズ・M・ケインが連載したミステリ小説「殺人保険」をビリー・ワイルダーが監督し、レイモンド・チャンドラーが共同脚本を書いた映画。主演はバーバラ・スタンウィックでファム・ファタール役は初挑戦らしい。彼女に取り憑かれる役はフレッド・マクマレイ(TVシリーズ「パパ大好き」)。犯罪を調査するのは、エドワード・G・ロビンソン。
もちろん面白くないわけがない。
Synopsis:
フィリスはディートリクスン氏の後妻、ケチケチした亭主に飽きたので保険金を掛けて殺すことを思いつき、保険外交員ウォルターを色仕掛けで仲間に入れる。
フィリスは夫に鉄道での死亡事故に倍額補償が付いている傷害保険を掛けておいて、前もって殺してしまい、代わりにウォルターが夫の扮装をして列車に乗り込み、車外に落ちた事故のように見せかける。
しかし保険会社の同僚で調査課長キーズの執拗な調査と、フィリスの無謀さにより、計画は綻びを見せる。
ビリー・ワイルダーは後期になって艶笑喜劇中心に撮っていたが、ユダヤ系であるため戦前にドイツからフランスを経由してハリウッドに移ってしばらくはサスペンスを担当することが多かった。
エドワード・G・ロビンソンが名探偵ぶりを見せる。残虐なインテリ・ヤクザや気の弱い大学教授などを演じていたので、何でもできると思っていたけれど、それにしても名優だなあ。
こんな馬鹿女フィリスと組むなんて、ウォルターは馬鹿な男だと言うこと。まず女の背景を調査しなければならない。でも哀しいかな、外交員には保険調査のノウハウがなかった。
それにしても日本では女の方から「一年半待て」(松本清張の短編)と言うほど慎重なのに、アメリカ人は単純すぎる。
亭主または情人を殺すプロットは、後にフレッド・マクマレイが主演した映画作品「殺人者はバッジをつけている」でも踏襲される。
監督 ビリー・ワイルダー
製作 ジョセフ・シストロム
原作 ジェームズ・M・ケイン (殺人保険) 「郵便配達は二度ベルを鳴らす」で有名な推理作家
脚色 ビリー・ワイルダー 、 レイモンド・チャンドラー
撮影 ジョン・サイツ
音楽 ミクロス・ローザ
出演
バーバラ・スタンウィック (フィリス)
フレッド・マクマレイ (ウォルター)
エドワード・G・ロビンソン (キーズ)
ジーン・ヘザー (ローラ)
トム・パワーズ (ディートリクスン氏)
バイロン・バー (ニーノ)
リチャード・ゲインズ (ノートン氏)
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