日本では1955年のクリスマス映画（12/23封切）。
ウオルト・ディズニーによるシネマスコープ実写映画（カラー）の第一作。
原作はフランスのSF小説家ジュール・ヴェルヌの海洋小説で、脚色はアール・フェルトンが担当した。監督はリチャード・フライシャー。
主演はジェイムス・メイスン、カーク・ダグラス。
共演はポール・ルーカス、ピータ・ローレ。
アカデミー美術賞（カラー）と特殊効果賞を受賞。
あらすじ
1866年から南太平洋で謎の沈没事件が次々と起った。1968年末に米国政府は海洋学者アロナクス教授と助手コンセイユ、銛打ちの名手ネッドを乗せた調査艦を出す。艦は何者かに攻撃されて沈没した。博士、コンセイユ、ネッドの3人は捕まり、怪物の正体がネモ艦長の操る潜水艦ノーチラス号だと知る。3人はネモに海底散歩に招待された。彼は電気銃を操り、ネッドを襲うサメを仕留める。
ネモは一行をニューギニア島に連れて行った。ある国が、大勢の囚人に強制労働をさせていた。ネモ艦長も昔はこの国で新しいエネルギーの研究を公開しなかったために妻子を殺され、奴隷労働をさせられていたのだ。アロナクス教授はネモに親しみを抱く一方、事情を知らないネッドとコンセイユは独裁的なネモに反発を感じる。そしてネッドは、秘かに本拠地の位置を示したメモを瓶に詰めて海中に投じた。
艦は、強制労働所から火薬を積み出す船を沈めるが、帰途に座礁した。満潮になるまで出航できない。ネッドは、孤島に上陸し脱出を図ったが、島には人喰人種がいた。その原住民は艦に殺到したが、ネモはノーチラス号の表面に電流を流して撃退した。脱走を図ったネッドは独房に閉じ込められる。
戦艦がノーチラス号を発見したので、艦は海中に身を潜めた。今度は大イカが巻き付いてきた。浮上したネモは自ら艦外に出て大イカと戦うが逆にイカの触手に捕えられる。ネッドは独房から抜け出して、銛でクラーケンを倒してネモの窮地を救った。
ノーチラス号は本拠地にようやく到着したが、島は既に各国艦隊によって包囲されていた・・・。
雑感
原作小説も懐かしい映画「海底二万哩」だ。原題のリーグは海里のことで当時のフランスでは3kmから4.6ｋｍに当たり、最低でも60000kmになる。
ただし現在では最深と言われるマリアナ海溝でも水深6000ｋｍ程度しかないことがわかっている。今では「海底2万マイル」と言う名に改題されたそうだ。
ディズニーのアニメ映画のような綺麗なカラー特撮映画である。
カーク・ダグラスやジェームズ・メイスン、ピーター・ローレが出ていたことは、子供の頃に気が付かなかった。そう言えば、「原子力潜水艦シービュー号」も日本放送時にリアルタイムで見ていた。水が苦手な自分には、潜水艦という閉鎖空間で生活することだけで怖かった覚えがある。
この1954年に日本では、「ゴジラ」が公開されている。二つの映画を見ると、日米の特撮文化の違いがよくわかる。同じ年にユニバーサルによって作られた「大アマゾンの半魚人」もそうだったが、水中撮影はアメリカの方がはるかに上手だと思う。大イカの戦闘シーンは日本の勝利。
ノーチラス号のエネルギーは、映画では原子力であることが示唆されているが、原作では電気動力である。1870年出版時に、まだ電気動力潜水艦は実用化されていなかった。1888年にスペインで開発された。
この原作は、1916年にユニバーサルで無声映画「海底六万哩」として映画化されたことがある。
現在、東京ディズニー・シーには「海底2万マイル」と名付けられたアトラクションがある。
スタッフ
製作 フレッド・リーイ
監督 リチャード・フライシャー （ミクロの決死圏）
脚色 アール・フェルトン
原作 ジュール・ヴェルヌ
撮影 フランツ・プラナー
プロダクション・デザイン ハーバー・ゴフ （アカデミー美術賞・カラー）
特殊効果撮影 ラルフ・ハメラス
水中撮影 ティル・ガバーニ
音楽 ポール・Ｊ・スミス
指揮 ジョセフ・Ｓ・デュビン
特殊効果 ジョン・ヘンチ、ジョシュア・メダー （アカデミー特殊効果賞）
挿入歌 「ア・ホエール・オブ・ア・テイル」（素晴らしい物語）唄：カーク・ダグラス
挿入曲 「トッカータとフーガ」（バッハ作曲）
キャスト
銛打ちの名人ネッド・ランド カーク・ダグラス
ネモ船長 ジェームズ・メイソン
アロナクス教授 ポール・ルーカス （1943年に「ラインの監視」でアカデミー主演男優賞受賞）
教授の助手コンセイユ ピーター・ローレ
ノーチラス号の一等航海士 ロバート・Ｊ・ウィルク
ジョン・ハワード カールトン・ヤング
ファランガット大尉 テッド・デ・コルシア
潜水士 パーシー・ヘルトン
リンカーン号の乗組員 テッド・クーパー
海運業者 エドワード・マー
ケイシー・ムーア フレッド・グラハム
ネタばれ
ネモは新型エネルギーの秘密が漏れるのを恐れて、島を爆破するために上陸したが、脱出時に背中を撃たれて重傷を負う。ノーチラス号は再び出港する。死期を悟ったネモは、艦と運命を共にする決意をした。道連れにされそうになったネッドは、博士とコンセイユを救出して艦を脱出して救命ボートに乗り移った直後に島は自爆し、ノーチラス号は自沈する。