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フレッド・コールマーが製作し、地方検事エリザー・リプスキーが書いた実話小説に基づいてベン・ヘクトとチャールズ・レデラーが脚本を書き、ヘンリー・ハサウェイが監督したフィルム・ノワール。
ノーバート・ブロディン撮影の白黒映画。
主演は「サムソンとデリラ」のヴィクター・マチュア。
共演はブライアン・ドンレヴィ、「赤い河」のコリーン・グレイ、「情無用の街」のリチャード・ウィドマーク、カール・マルデン。
雑感
カルト的人気のあるフィルム・ノワール作品。
アイラ・レヴィン原作で同じ邦題の有名推理小説があるが、全く違う。
しかし、この作品も良い。
共犯者だったニックが態度を一変させて告発者となり検察側の証人となるが、その裁判は狡猾な弁護士により検察側の敗訴となる。組織の魔の手はニックとその家族に迫る。
司法取引はあるが、証人保護プログラムがニューヨーク州になかった頃の話だろう。
ヘンリー・ハサウェイが監督したが、セミ・ドキュメンタリーではなく回想シーンを取り入れ、途中で編集カットされた箇所も多かった。
マッチョなビクター・マチュアは、犯罪者だったが家庭的な父親に扮して、抑えた役柄を演じた。
この作品で彼は、ロカルノ国際映画祭主演男優賞を受賞した。
共演者も顔ぶれが揃った。
ブライアン・ドンレヴィやカール・マルデンを捜査側に配して、犯罪側はリチャード・ウィドマークだ。
マチュアよりこのリチャード・ウィドマークの方が目立っていた。いつもの彼の演技より3割増しでサイコな演技だった。単なる不良でなく、頭がおかしいのだ。
これ以上やったら、ヘイズコードに引っ掛かってカットされただろう。
コリーン・グレイがヒロインを演ずる。
「赤い河」や「現金に体を張れ」と言った名作に出演していた。とくに美人とは思わないが、作品運の良い女優だと思う。
キャスト
ヴィクター・マチュア ニック・ビアンコ
ブライアン・ドンレヴィ ダンジェロ検事補
コリーン・グレイ ネッティ
リチャード・ウィドマーク 殺し屋ユードー
テイラー・ホームズ アール・ハワード
ハワード・スミス ウォーデン
カール・マルデン カレン刑事
アンソニー・ロス ウィリアム
ミルドレッド・ダンノック リゾ
ミラード・ミッチェル マックス・シュルト
スタッフ
監督 ヘンリー・ハサウェイ
製作 フレッド・コールマー
脚色 ベン・ヘクト、チャールズ・レデラー
原作 エリザー・リプスキー
撮影 ノーバート・ブロディン
音楽 デイヴィッド・バトルフ
ストーリー
前科者ニック・ビアンコたちは、ニューヨークの高層ビルにある宝石店を襲う。
ニックは、エレベーターから逃走する際、警官に撃たれて逮捕された。彼は、地方検事補ダンジェロに共犯者の名前を白状すれば減刑してやると持ちかけた。しかし、彼は仁義を守って拒否する。
ギャングが彼の家族に手当を与えなかったので、妻は生活苦で自殺し、2人の子は孤児院に入れられた。それを近所に住んでいたネッティが教えてくれた。ニックはギャングに復讐するためにダンジェロに共犯者全員を告げた・・・。
密告したのはギャングの一員リゾだと思わせるため、ダンジェロはリゾだけ逃した。ハウザーは、リゾを告発者だと見なして、サイコなギャングであるユードーに探させた。リゾの母がリゾの家に車椅子で暮らしていた。行方を答えないのに業を煮やしたユードーは母を階段から突き落として殺してしまう。
ニックは、仮出所を許された。彼は名前を変えて、2人の子供を孤児院から引取りネッティと結婚して別の街で暮らした。しかし、ユードーはハウザーの力で証人が証言を変えたため無罪となり、放免となった。
ニックは、いずれ見つかてしまう。
覚悟を決め、家族を避難させて、自由になったユードーと直接対決する。料理屋で銃を手放したニックはユードーに会い、射たれてしまう。その瞬間、前もって打ち合わせをしていた警官隊が、ユードーを撃った逮捕した。