2008年のポワロシリーズ最終作。
「ナイルに死す」と同じ頃に書かれた中東旅情ミステリー。
「死海殺人事件」として映画化されたこともあり、通のファンには愛されている作品だ。
加虐趣味の意地悪ばあさんが白昼、炎天下で殺される。
虐められていた養子に疑いの目が向けられる。
ポワロの推理は?
予算が余っていたかのように、出演者は大物揃いである。
少し悪い予感がするが、如何だろう。
Directed by Ashley Pearce
Screenplay by Guy Andrews
Novel by Agatha Christie
Cast
David Suchet … Hercule Poirot
Christina Cole … Dr. Sarah King
Zoe Boyle … Jinny Boynton
Tom Riley … Raymond Boynton
Emma Cunniffe … Carol Boynton
Angela Pleasence … Ex-Nanny
Beth Goddard … Sister Agnieszka
Christian McKay … Jefferson Cope
John Hannah … Dr. Gerard
Elizabeth McGovern … Dame Celia Westholme
Tim Curry … Lord Boynton
Cheryl Campbell … Lady Boynton
Paul Freeman … Colonel Carbury
1937年のシリア。
ポワロは洗礼者ヨハネの遺骨発掘を見学するツアーに参加していた。
ボイントン卿と息子レナードが発掘を主導していて、裕福なアメリカ人のボイントン夫人がスポンサーをつとめている。
ボイントン夫人はサディストで、養子レナード、養女キャロル、ジニーを虐めて楽しんでいた。
他にツアーの一行にはサラ・キング医師、ジェラール博士、シスター・アグネスカ、旅行作家セシリア・ウェストホルム、それにアメリカ人ジェファソン・コウプがいる。
ある夜、ポワロは「彼女は殺されなければならない。」と言う声を聞く。
今回の作品もまた原作と大きくかけ離れている。
とくにお涙頂戴に仕上げたのが気に入らない。
一度しか読んでいないが、犯人が明らかになったときに、ほっとしたものだ。
でもこのドラマでは、救いがない。
だいたい、この結末では「ナイルに死す」と、どこが違うんだ?
前作「マギンティ夫人は死んだ」ではうまく演出したアシュレー・ピアスだが、この作品は失敗作。
大物を使いすぎているから、こういう結果を呼ぶ。
スターはせいぜい一人で十分だ。
スターがいなくても、脚本の書きようで、いくらでもおもしろくできたはずだ。
こんな事をやってたら、「オリエント急行殺人事件」に行き着く前に、デビッド・スーシェが下りて、シリーズが終わってしまうだろう。
☆
ドラマが見あたらないので、映画版の死海殺人事件(1988)
キャスティングはこのドラマより数段上だが、超大物が出ているため、誰が犯人か見え見えだ。
☆
今回のシリーズでは、やはり「マギンティ夫人は死んだ」がベスト。
次は「鳩のなかの猫」、「第三の女」そして「死との約束」の順だ。
人気がない作品ばかり選んでいるので、NHKとしてはなかなか放映できない。
それでも、おそらく8月か年末には放送するだろう。
永遠のセルマ・リッター
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