オペラ「ラ・トラヴィアータ」ではなく、アレクサンドル・デュマ・フィスの原作小説に近いハリウッド映画「椿姫」。

女性映画の巨匠ジョージ・キューカーが37歳で監督し、グレタ・ガルボ31歳、ロバート・テイラー26歳の主演作品。

オペラの主役「ヴィオレッタ」の声(ソプラノ)を聞き慣れていると、マルグリット役のグレタ・ガルボの低音はかなり違和感がある。

しかし彼女のキャリアがピークに達した時期に撮影されただけに、その演技にはオペラに負けない凄みを感じた。

白黒スタンダード作品。

 

あらすじ

社交界で安い客を相手にしない高級娼婦マルグリートは、田舎から出てきたばかりのお坊ちゃんのアルマンに何度断っても、アルマンは引き下がらず恋心を訴える。そのうちにアルマンの心情が通じたか二人で夏休みに田舎に出かける。それは病気がちなマルグリートにとって転地療養の為でもあった。
しかしアルマンがパリに用足しに行っている間にアルマンの父デュヴァル氏が訪れ、マルグリートに将来のある息子と別れてくれと懇願する。マルグリートはその夜のうちに近所にあった男爵の別荘に消えてしまった。
パリに帰っても捨てられたアルマンの怒りは冷めず、男爵に決闘を申し込む。その結果、男爵を怪我させたため、ほとぼりが冷めるまでアルマンは外国生活を余儀なくされる。
男爵の怒りも冷めず、マルグリートの関係は終わりを告げる。天涯孤独になったマルグリートは宝石を売り尽くすが、今までの豪奢な生活がたたって債務者として裁判所の監視下に置かれる。そして見る見る体の調子を崩していった。
そこへ帰ってきたのがアルマン。慌ててマルグリートの元へ駆けつけるが、時すでに遅し。彼女はアルマンのことだけを思ってなんとか今日まで生きてきたが、すでに虫の息だった。

 

雑感

原作のロマン主義文学らしさはよく出ている。直接的な表現はないが、高級娼婦に成り上がったが故に、周囲は敵だらけで、マルグリートの豪奢な生活に流されたい思いは伝わった。
そんな生活環境劣悪であるが故に病を得て、それなのに男爵はロシアの寒冷地に引き込もうとする。
そんな中でアルマンのい田舎へ行こうという申し出は心を打ったろう。だからこそ、アルマンから身を引く決断に繋がっていく。
死ぬ前に本物の愛を見つけたマルグリートは幸せだったと思う。グレタ・ガルボはこの人情悲劇をドラマチックに演じていた。ただグレタ・ガルボの後輩であるイングリッド・バーグマンの「椿姫」も見てみたかった。
なお、原作では倒置法を取っており、アルマンがマルグリートの死を信じられなくて墓を暴くシーンから始まり、遺体を見て落ち着いたアルマンが作者に往時の回想を語る。
オペラでは、役名からしてちがうし、男爵のポジションがさほど目立ってない。

 

スタッフ

監督  ジョージ・キューカー
制作  デイヴィッド・ルイス
原作  アレクサンドル・デュマ・フィス
脚色  ゾー・エイキンス 、 フランシス・マリオン 、 ジェームズ・ヒルトン
撮影  ウィリアム・ダニエルズ 、 カール・フロイント

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配役

マルグリート(椿姫)  グレタ・ガルボ
青年アルマン  ロバート・テイラー
デュバル(アルマンの父)  ライオネル・バリモア
ニコレット  エリザベス・アラン
下女ナニヌ  ジェシー・ラルフ
バルビユ男爵  ヘンリー・ダニエル
ライバル・オランプ  ルノアー・ウルリック
プルデンス  ローラ・ホープ・クルーズ
友人ガストン  レックス・オマリー

椿姫 (Camille) 1936 MGM – グレタ・ガルボの代表作の一つ

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