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李香蘭・私の半生 山口淑子・藤原作弥著 新潮文庫

      2017/09/12


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ドラマや劇団四季のミュージカルでお馴染みの李香蘭半生記だ。
中国生まれの日本人山口淑子が、満映の中国人女優・李香蘭として抜擢される。彼女は親日的な満州映画だけでなく、日本映画でも大活躍する。
しかし終戦後、上海で囚われ漢奸裁判(親日派の中国人が裁かれた)の被告になる。自分は日本人の山口淑子であることを告白して、罪を許される。

 

ドラマよりもかなり抑えめの表現である。
個人的なことより、周囲の満州に関わった人のその後がショッキングだった。撫順事件では、イラクでのアメリカ軍と同じ事を、関東軍がやっていたことを思い知らされる。居残り軍は、どこの国も同じだ。欲求不満の塊で、ゲリラの抵抗に対してその何十倍も報復をする。被害を受けるのは、非戦闘員とくに罪のない女子供だ。

 

李香蘭とソ連のボルシェビキが、関係していたのには驚かされた。ボルシェビキのおかげで、山口淑子が助かったと言っても過言ではない。
川島芳子満州皇室との関係も興味深い。
内田吐夢監督は、甘粕正彦満映理事長(もと憲兵大尉、甘粕事件の犯人)の自殺の現場に立ち会っていたのも初めて知った。
山口淑子は日本国籍を持ってはいても、その心は中国人である。日本のような狭い国では、じっとはしていられない。戦後帰国してからアメリカへ渡った。
二度の結婚後、女優を引退しても「三時のあなた」の司会として世界各国を飛び回った。日中国交正常化の現場に立ち会ったり、赤軍派の重信房子(当時海外逃亡していた)と会見した。
あげくに参議院議員にまでなってしまった。かなりバタ臭い美人だったため、女優としては好きではなかったが、「三時のあなた」の司会としては扇千景より好きだった。

 

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