ドラマや劇団四季のミュージカルでお馴染みの李香蘭半生記だ。
中国生まれの日本人山口淑子が、満映の中国人女優・李香蘭として抜擢される。彼女は親日的な満州映画だけでなく、日本映画でも大活躍する。
しかし終戦後、上海で囚われ漢奸裁判(親日派の中国人が裁かれた)の被告になる。自分は日本人の山口淑子であることを告白して、罪を許される。

 

ドラマよりもかなり抑えめの表現である。
個人的なことより、周囲の満州に関わった人のその後がショッキングだった。撫順事件では、イラクでのアメリカ軍と同じ事を、関東軍がやっていたことを思い知らされる。居残り軍は、どこの国も同じだ。欲求不満の塊で、ゲリラの抵抗に対してその何十倍も報復をする。被害を受けるのは、非戦闘員とくに罪のない女子供だ。

 

李香蘭とソ連のボルシェビキが、関係していたのには驚かされた。ボルシェビキのおかげで、山口淑子が助かったと言っても過言ではない。
川島芳子満州皇室との関係も興味深い。
内田吐夢監督は、甘粕正彦満映理事長(もと憲兵大尉、甘粕事件の犯人)の自殺の現場に立ち会っていたのも初めて知った。
山口淑子は日本国籍を持ってはいても、その心は中国人である。日本のような狭い国では、じっとはしていられない。戦後帰国してからアメリカへ渡った。
二度の結婚後、女優を引退しても「三時のあなた」の司会として世界各国を飛び回った。日中国交正常化の現場に立ち会ったり、赤軍派の重信房子(当時海外逃亡していた)と会見した。
あげくに参議院議員にまでなってしまった。かなりバタ臭い美人だったため、女優としては好きではなかったが、「三時のあなた」の司会としては扇千景より好きだった。

 

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李香蘭・私の半生 山口淑子・藤原作弥著 新潮文庫

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李香蘭・私の半生 山口淑子・藤原作弥著 新潮文庫” への8件のフィードバック

  1. はじめまして
    李香蘭を調べていて、このブログにたどりつきました
    戦後生まれだと、戦前・戦時中のことを、知らないので
    書籍や映像がたよりです
    上戸彩主演で
    「李香蘭」を生きて の本を題材にドラマ化されるそうです
    http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532164923/webcandy-22
    http://www.tv-tokyo.co.jp/rikouran/
    放送前に、李香蘭に関連する本を読んで、少し歴史を
    勉強したいと思いました

  2. 李香蘭のドラマは如何だったでしょうか?
    きれいな人だったから、かわい子チャンタイプの彩ちゃんは苦戦したのではないでしょうか。

  3. 李香蘭のドラマは如何だったでしょうか?
    きれいな人だったから、かわい子チャンタイプの彩ちゃんは苦戦したのではないでしょうか。

  4. 何年か前に電車で私の前に座っておられました。とても??歳とは到底思えず、お、お、お美しい。

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