冬至の日に行われる第64回有馬記念。
一番人気は天皇賞・秋を勝った後熱発明けの牝馬アーモンドアイ(父ロードカナロア、単勝1.5倍)、しかしG1七勝目を中山競馬場で上げて引退したジェンティルドンナ(父ディープインパクト)と違って、中山に向いている脚だと思わない。パドックで見ていても、何か引きつけられる貫禄を感じない。
二番人気は同じく牝馬のリスグラシュー、父がハーツクライだけにアーモンドアイより距離適性はある。ラストランなので、パドックはメイチに仕上げている。
三番人気は三歳馬サートゥルナーリア(父ロードカナロア)は、ホープフルSと皐月賞を連勝しているので、中山にも対応できる。ルメール騎手がアーモンドアイを選んだが、サートゥルナーリアはスミヨンを二走続けて鞍上に迎えているのだから、問題なし。
四番人気も三歳菊花賞馬ワールドプレミア(父ディープインパクト)、体重増でぼてっとしているが、毎度のように元気だけは良い。
五番人気は5歳でジャパンカップを勝ったスワーブリチャード(父ハーツクライ)、左回り巧者なので人気落ち。
六番人気は4歳春の天皇賞馬フィエールマン(父ディープインパクト)、前走は凱旋門賞で惨敗した。何処まで立て直しているか。
七番人気は引退レースを迎えた5歳菊花賞馬キセキ(父ルーラーシップ)、過去二走はフランス・フォア賞3着、凱旋門賞7着。
予想は、人気薄のエタリオウからワイド流しだったが、レースの方は・・・。
牝馬アエロリットが大逃げを打って前半58秒5とハイペースだが、二番手のスティッフェリオは五馬身以上離れていたので59秒後半のペースだったはず。そんなに慌てても仕方がないと思うが、スティッフェリオとアルアインが三・四コーナー中間で差を詰めて先頭を伺う勢い。
こうなると中団外に付けて好位に上がってきたアーモンドアイの思うつぼかと思いきや、直線を向いて、中団で一呼吸溜めていたフィエールマンがアーモンドアイを交わして、先頭に立とうとする。ところが道中後方で待機していたサートゥルナーリアが一瞬の脚で二頭を外から交わす。さらに外からリスグラシューが一気に突き抜けてしまう。
一着 3(6)リスグラシュー 2分30秒5
二着 5(10)サートゥルナーリア 5馬身 2分31秒3
三着 4(7) ワールドプレミア クビ 2分31秒4
以下3(5)フィエールマン、6(11)キセキと、絶対人気アーモンドアイは飛んだが、それ以外は人気通りの結果だった。
リスグラシューは中団にいて、アーモンドアイの後ろ外からフィエールマンがマークする内でジッとしていて、残り300mで外に出してから追い出した。そのおかげで5馬身のぶっちぎりだった。騎手の中ではD.レーンがレースを一番見ていた。近いうちに英国ダービーも勝てるだろう。アーモンドアイもこのレースが出来れば、圧勝していた。
勝ち馬の隣にいたフィエールマンは完全にマーク対象を間違えた。
サートゥルナーリアもアーモンドアイをインからマークしたが、まさか外から来られるとは思わなかったろう。左回り苦手と言え、ダービーでD.レーン騎手が乗って4着と大失策した。そのレーンに有馬でしてやられるとは残念でした。来年は有馬でレーンを乗せて走ってください。
ワールドプレミアは殿追走で、直線競馬に徹した。馬の出来が万全で無かったことを考えれば、結果論だが来年に繋がる走りだった。春の天皇賞では、同じディープ産駒のフィエールマンと1,2フィニッシュを決めて欲しい。
大本命アーモンドアイは、ルメール騎手の談話では一周目のホームストレッチで引っ掛かったようだ。もうゴールと間違えたのだろう。当然、陣営はアーモンドアイの脚質からテンションが上がることを注意していたはずだが、早めに外に出したのは騎手の判断ミスだ。安田記念の時のようにスペースが無いと、行き足がつかないことを恐れたせいだろうが、もう少し自信を持って乗った方が良い。
陣営は禍転じて福と考え、来春のビクトリアカップ、安田記念と連勝してG1を八勝すれば良い。ルメールもこれで下ろすことが出来る。そしてモレイラかレーンを呼べば良い。
エタリオウは思わぬ好位策に出て、10位と惨敗してしまった。この馬も器用さに欠けるから、もう少し直線は長い方が良い。
全体としては来年に向けて収穫の多いレースだった。