また京マチ子の映画を見た。歌謡映画「有楽町で逢いましょう」。
その前年にフランク永井のこの曲が大ヒットした。地方民には知ったことではないが、本来そごう百貨店は心斎橋を本店として、次に神戸店を立てている。第三店として東京進出を企てて、1957年出来たばかりの讀賣会館内に有楽町そごうを開店した。この歌はそこのCMソングだった。その後、同名の歌番組(ささきいさおが店内で放送したと言っていた)、小説連載、その映画化と、かさに掛けてメディアミックスしていった。おそらくそごうだけでなく、讀賣グループの入れ知恵があったのだろう。(現在、有楽町そごうの後にはビックカメラ有楽町店が入っている)
監督は島耕二、脚本は笠原良三、主演に京マチ子、菅原謙二、川口浩、野添ひとみ、共演は北林谷栄、浪花千恵子、山茶花究、叶順子、北原義郎。ただの歌謡映画と思えない意外な好メンバーだ。フランク永井はOPだけ出演している。

 

 

あらすじ

 

パリ帰りの新進気鋭デザイナーの亜矢(京マチ子)は、建築家の練太郞(菅原謙二)と初対面の時から印象が悪かった。しかし弟武志(川口浩)が練太郎の妹加奈(野添ひとみ)と付き合い始めたものだから、大げんかとなり、家を飛び出してしまう。
祖母(北林谷栄)によると、どうやら大阪の乳母(浪花千栄子)の元に身を寄せているらしい。亜矢が新幹線で武志を迎えに行こうとすると、練太郎も仕事のため同乗して来た。事情を亜矢から聞くと、妹に関わる問題だから練太郎も武志と会うことになる。
二人して乳母の家に乗り込み、武志を締め上げようとするが、武志も亜矢には強情である。そこで練太郎は武志が卒業して就職する条件付きで交際を認めてはどうかと、亜矢に勧める。彼女もモーレツに仕事ばかりしてきて、余裕がなかったと反省して二人のことを認める。同時に練太郎のことを見直すのだった。
しかし二人は忙しすぎて、旅行に出かける暇もない。しばらくは仕事場のある有楽町でデートするしかなさそうだ。

 

 

雑感

 

1時間半の映画も端折るとこの程度。しかし面白い点もあった映画で、当時の有楽町で見る映画としてはピッタリだったろう。
まず、京マチ子の洋装だが、30代のこの人は日本人離れして腰の位置が高くて脚が長い。長く見せてるのではなく、普通にしていてこうなのだ。
ところが和服も似合っている。和服の方が、おそらく似合うように帯の位置を下げていたはずだ。外人が国際映画祭でこの人見たときに華があったことは想像に難くない。
次に野添ひとみはSKD入団した途端に親会社の松竹映画に抜擢されて、翌年大作の「君の名は」で娼婦上がりの少女役を演じた。それぐらい松竹のお気に入りだったのに、川口松太郎大先生の御子息浩様に見初められ、こともあろうか永田雅一大映社長を通して、野球選手のように松竹から大映へのトレードを申し込んだ。さすがの松竹も松太郎先生の意向に逆らえず、野添は大映入りする。その翌年開高健原作の「巨人と玩具」でも共演しているが、これもラブラブしている最中の作品である。この2年後、華燭の典を挙げるが、その後の彼女の壮絶な人生はご存知の通り。個人的には松竹に残った方が幸せだったと思っている。
他にも船越英二が車掌役で少しだけ出てくるし、野添に変わってスターの座を掴む叶順子が加奈の友人役で出ている。

 

スタッフ・キャスト

 

監督 島耕二
製作 永田秀雅
原作 宮崎博史
脚色 笠原良三
企画 川崎治雄
撮影 秋野友宏
音楽 大森盛太郎

配役
小柳亜矢 京マチ子
武志 川口浩
てつ 北林谷栄
篠原練太郎 菅原謙二
加奈 野添ひとみ
島崎房江 叶順子
前田 山茶花究
よね 浪花千栄子
新子 小野道子
清水 北原義郎

 

有楽町で逢いましょう 1958 大映 有楽町で逢い、道頓堀で恋を知る!

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