夏目友人帳・陸 第2話の「明日咲く」というサブタイトルを見て、かつてアイドル全盛時代にパティ(PATTY)というハーフタレントがいた事を思い出した。
パティ・フィンクは在日米軍人と日本人女性の間に生まれて米軍横田基地内のハイスクールを卒業後、1978年アメリカ映画「See How She Runs」(邦題「マイライフ」)の日本限定主題歌を1979年にキングレコードから発売してデビュー。
そして翌1980年に東芝EMIに移籍し芸名をパティと改めて、日本テレビ・ライオンスペシャルドラマ「太陽は沈まず~海よ!小さな戦士の歌を聞け」主題歌「太陽のユートピア」で再デビュー。ドラマの主人公は今をときめくMC坂上忍でトンガに単身赴任する父を追いかけてトンガに渡る役、父を竹脇無我が演じた。この曲はオリコン18位まで上がった。
今回お送りする「明日・・・咲く」は日本テレビの1980年11月から月曜9時放送のスター劇場「竹とんぼ」主題歌だ。ドラマは主役の頑固な職人を宇津井健が演じ、その四人の子供を井上純一、石野真子、藤谷美和子、野村義男が演じているハートウォーミングなホームドラマである。この曲もオリコン最高29位だったそうだ。歌の実力はまあまあという所。それほど上手くないが、この音源は元の録音が悪いのか音が少しずれている。
この人は他にも西村寿行原作大ヒット動物ドラマ「黄金の犬」(これも日本テレビ)の主題歌を歌っていて、1980年だけで3つも主題歌を歌ってちゃんと売れたのだが、79年デビュー組の評判が芳しくなかったこと、レコード会社を移籍したことが響いて日本テレビ音楽祭金の鳩賞にかすりもしなかった。
ここで79年デビュー組を色分けしてみると、様々なジャンルの分けられることがわかる。
アーティスト枠:YMO、一風堂、SHOGUN、自切俳人とヒューマンズー、スペクトラム、ネイティブ・サン、白竜、ヒカシュー
アイドル枠:井上望、川島なお美、倉田まり子、桑江知子、能勢慶子、比企理恵、フィーバー、ラブ・ウィンクス、佐藤恵利、BIBI、マーガレット・ポー
実力派:大滝裕子、松原みき、宮本典子、BORO、山根麻衣、ティナ
ヤマハ:石川優子、門あさ美、チャゲ&飛鳥
ニューミュージック:久保田早紀、沢田聖子、須藤薫、パル、竹内まりあ、越美晴、堀川まゆみ
演歌・村木賢吉、松原のぶえ、たかだみゆき
歌謡曲・横山みゆき、ロスインディオス&シルビア
アニソン・おぼたけし
外人枠・セーラ・ロウエル
79年は不作だったと言われるが、これは全くの誤解。結果的にアイドルになる人数が少なかっただけで、人材自体は80年代のニューミュージック、テクノサウンドからフュージョンまで相当にカラフルだった。彼らもデビュー時はアイドルみたいな顔をして挨拶回りをしていたのだ。
そして80年に入ると歌謡ポップスの世界は松田聖子、河合奈保子、柏原芳恵、田原俊彦らスーパーアイドルが台頭してきていた。その中でレコードが売れながらタイアップ歌手兼コント要員としてしか居場所を与えられなかったパティ・フィンクは残念だった。もう少しデビューが早ければもっと良い結果を出していたろう。現在はアメリカ在住で元気でいる。Facebookをやっているので興味のある人はご覧を。
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