ダービー当日の府中は晴れの良馬場。
昨日は芝外枠しか来なかったが、今日は6Rで2番枠の馬が内で2着に残っていたから、午後に入って馬場は次第に内が乾いて来そうだ。
8R青嵐賞は十六頭立てなのに三連単は3-8-4だった。時計は2分23秒8。ただこのレースの勝馬ルックトゥワイスは遅れて来た重賞級大物なので、これを基準にして走るとバテそう。9Rのむらさき賞では、最低人気のショウナンマルシェが先行粘り、好位につけていたサンマルティンが差して勝った。上がりがほとんど33秒台だったため、相当に上がりが速い馬場になっている。
一番人気は大外のアドミラブル、二番人気はレイデオロ、三番人気はスワーブリチャード、以下アルアイン、サトノアーサーまでが10倍以下で、ペルシアンナイト、ダンビュライト、カデナ、クリンチャーと続く。
種牡馬血統で見ると、ディープインパクトが四頭、キングカメハメハと息子ルーラーシップが三頭、ハーツクライ、ステイゴールドが二頭、マンハッタンカフェと息子ジョーカプチーノが二頭、ディープスカイ、ハービンジャーなどが一頭ずつ。
一番人気のアドミラブルは、本当に強ければトーカイテイオーのように大外も苦にするわけがない。今の馬場は25年前のように外有利だ。ただ青葉賞から中3週で再度長距離輸送する方が心配だ。調教も大急ぎで仕上げた感じがする。さらにデムーロが青葉賞で無理をさせ過ぎた気がする。今が良くても先で影響が出そうだ。だから三連単の頭ほど信頼はしていない。せいぜい連軸までだ。
皐月賞馬アルアインは母が1400G1の勝馬なので少し危ない。サトノアーサーは昨年のダービージョッキーだしレース間隔が空きすぎているのではないか。
馬体重で気になったのはスワーヴリチャードが12kg減。
パドックの様子はマイスタイルから内の馬が入れ込んで、サトノアーサー、アルアイン、ペルシアンナイト、カテナ、大外のアドミラブルは堂々として万全だった。レイデオロはカリカリ入れ込んでいる。逆にスワーブリチャードは大人し過ぎる。
順調に輪乗りが始まったと思ったら、突然アドミラブルがヘッドバンギングし始めた。全然収まる様子はない。どうやらアドミラブルの単勝馬券と頭で買った馬単、三連単は溶けてしまったようだ。
レース展開は、マイスタイルが逃げてトラストが先行する展開。三番手にはアルアイン、ダイワキャグニーが付ける。ところが1,2コーナー中間で急にスローダウンしてしまった。その後も横山のペースは、ダービーらしからぬ超スロー。向こう正面で13秒台が出てしまい、レイデオロが辛抱できず後方から仕掛けて一気に二番手に上がる。ペルシアンナイトも三番手の外に押し上げる。
直線を向いて残り400で左利きスワーヴリチャードが中から外に出してレイデオロに並び掛け先頭を伺う。本命アドミラブルは第一歩で外に寄れて出遅れ、直線を向くまで青葉賞と違って動かず後方で辛抱していたが、ようやく大外を上がり始める。
残り200でレイデオロが先頭を捉えて、すがるスワーヴリチャードを押さえ込み、そのまま優勝。勝ち時計は2分26秒9というエイシンフラッシュ以来の遅い時計(良馬場に限る)。あのときも13秒台が二つもあるドスローだった。オークスよりも2秒8も遅い。勝ち馬の上がりは33秒8でレースの上がりと一致。
2着は3/4馬身でスワーヴリチャード、上がりは33秒5。三着に何とか間に合ったアドミラブルが入って、上がりは33秒3で最速。
以下逃げたマイスタイルが皐月賞16着から巻き返し、皐月賞馬アルアインは好位で出入りが激しかったが粘って5着だった。今後は名マイラーとして活躍して欲しい。あとはダンビュライト、ペルシアンナイトと皐月賞上位組が続いた。サトノアーサーとカデナは見せ場なく沈んだ。
青葉賞馬の不名誉な記録は続く一方、「青葉賞馬は良くてダービー2着」という定説を作った張本人の藤沢調教師は考えを改め、皐月賞を叩き台にしてダービーを初めて勝ってしまった。
また鞍上ルメールは三週連続G1制覇で、藤沢厩舎でオークス、ダービーを共に初制覇した。牡馬クラシック完全制覇のオマケ付きだ。
レースレベルは時計通りに低いが、勝ち馬が弱いかどうかはわからない。たしかに今日は騎手の駆け引きの勝負だったが、レイデオロは2000mまでならばこなすはずだ。ただ牝馬が強い世代であることは確実で、レイデオロより速くて強い牝馬はいるだろう。ソウルスターリングと天皇賞・秋辺りで雌雄を決するだろう。
アドミラブルは通常運転なら自分から仕掛けて勝てるはずだった。勝ち馬と一緒に上がって行きたかったとデムーロも言っているように仕掛けることができなかったのである。レース直前になっての入れ込みぶりは、青葉賞がトラウマになっているとしか考えられない。故障していなければ良いが。
横山マイスタイルは確信犯のスロー逃げだが、レースを白けさせた罪は重い。丹内トラストが色気を持って押さえてしまったのも横山の術中にハマった。
関連