ジャクリーヌ・ビセットが「ザ・ディープ」の後、キャリアのピークで主演したヨーロッパ発グルメ・ミステリー。
共演はジョージ・シーガル、ロバート・モーレー、それにフィリップ・ノワレらフランスの大物俳優陣も登場する。
監督はテッド・コッチェフ(「ランボー」「地獄の七人」)だが、彼は実家が料理店で映画界に入るまでシェフを実際にやっていた。今回の料理監修ポール・ボキューズもコネで呼んだ。
脚本は「シャレード」「アラベスク」を手がけたピーター・ストーン。
あらすじ
人気パティシエのナターシャ(J.ビセット)は英グルメ出版社社長マックス(R.モーレー)の推薦を受け、英王室の晩餐で得意の爆弾ケーキをふるまい、女王陛下に喜ばれる。その夜は、肉料理の天才ルイ(ジャン・ピエール・カッセル)と共に過ごすが、翌朝オーブンでルイの黒焦げの死体を見つける。警察はナターシャの前夫でアメリカのファスト・フード・チェーン社長ロビー(G.シーガル)に疑いの目を向ける。
ナターシャは出版社の仕事でベネチアへ出張する。ナターシャはインタビュー相手の魚料理の天才ゾッピと早速その夜の約束をするが、待ち合わせ場所に行くと、水槽で溺死体になっているゾッピを発見する。
そこでロビーとナターシャはマックスの雑誌に名前の挙がったシェフとパティシエのうち二人が殺されたことに気付き、パリに急ぐ。そこではナターシャの師に当たるスープの天才ムリノー(フィリップ・ノワレ)が圧搾機で頭を潰されて殺される。
雑誌に掲載された四人目はナターシャだった。ロビーはナターシャを守るため、居室から彼女は出ないと宣言する。しかしマックスは犯人が自白したことを彼らに伝える。安心したロビーは商用でブリュッセルへ行き、ナターシャは英国テレビの料理番組に出演するが・・・。
雑感
下のポスターにある「Too Many Chefs」というのはタイトルが長すぎる故の副題で、レックス・スタウトの名作推理小説「Too Many Cooks」(邦題「料理人が多すぎる」)のもじりである。
ミステリ映画では最初に登場する人物が○○であることが良くあるから、R.モーレイをマークしていたが、最後まで見ると○○ではなかった。でも映画では自白しか証拠がなかったから、本当は分からない。
劇場で見ていないが、テレビで三度も見てDVDも買った映画だ。何と言ってもジャクリーヌ・ビセットが美しく、同時に衰えに気付かされた。キャリア・ハイで「シャレード」のピーター・ストーンに脚本を書いて貰えて彼女は幸せだったと思う。現在はスタイルを維持しつつ、良い感じでおばあさんになっているので、仕事に困ることはない。
10才年上のジョージ・シーガルは1960年代にピークを迎えており、ラブコメ風サスペンスのここではジャクリーヌの引き立て役である。不倫している疲れた中年男をやらせた方が絶対良くて、同年のイギリス映画「ウィークエンド・ラブ」でゴールデン・グローブ賞主演男優賞を受賞した。
最後に日曜洋画劇場での淀川さんの解説。