(★)中年男のよろめき映画。
エリック・ロメール監督が発表した三角関係映画のシリーズ「六つの教訓話」の最終編。
カラー映画で撮影は「モード家の一夜」のネストール・アルメンドロスが担当。
美術はニコール・ラシーヌで、一部の屋内シーンはスタジオ・セットで撮影している。
主演は、夫婦役を演じ実生活でも夫婦のベルナール・ヴェルレーとフランソワーズ・ヴェルレー。
浮気相手役は、有名歌手のズーズーである。60年代のイエイエ・ガールで、当時ローリング・ストーンズのオリジナル・メンバーであるブライアン・ジョーンズの妻だった。
雑感
コメディ色は全くなく、シリアスでありよくある浮気話である。でもエリック・ロメール監督が描くと名作の香りがする。
女性が一人で興奮して盛ってしまい、異性に引かれるとは男女の別があるとはいえ身につまされる話だ。おそらく、彼女は排卵日まで計算していただろう。恐ろしや。
また、浮気相手に普段付き合っているのと全く別のタイプを選ぶのは、どの男には身に覚えがあることだろう。
国内配給はシネセゾンで1996年。
クリス・ロック(ウィル・スミスにアカデミー賞でビンタを喰らったコメディアン、ラッシュアワー三部作)が監督・主演したリメイク版を2007年に作っているが、これはコメディだ。
キャスト
ベルナール・ヴェルレイ フレデリック
ズー・ズー 愛人クロエ
フランソワーズ・ヴェルレイ 妻エレーヌ
ダニエル・セカルディ 同僚ジェラール
マルヴィーナ・ペーヌ フェルナンド
バベット・フェリエール マルティーヌ
スタッフ
監督、脚本 エリック・ロメール
製作 ピエール・コトレル
製作総指揮 バーベット・シュローダー
撮影 ネストール・アルメンドロス
音楽 アリエ・ジェルラトカ
ストーリー
パリの弁護士フレデリックは、同僚ジェラールと共同で事務所を興した。パリ郊外で彼は、英語教師の妻エレーヌと娘アリアーヌと暮らしている。
ある日フレデリックの事務所に、自由を愛する女性クロエが飛び込んできた。フレデリックは、大学時代に友人の恋人して知り合った時、あまりクロエと気が合わなかった。
しかし、クロエがパリに部屋を借りてから、倦怠期だった彼は時折、彼女と会うようになる。
しばらくして、エレーヌは長男アレクサンドルを産む。やがてエレーヌはベビーシッターを雇い、職場復帰した。妻の相手をしなくてもよくなったフレデリックは、クロエと再びよりを戻す・・・。
働いている店の定休日にクロエは棚卸しをしていたが、フレデリックを呼び出す。クロエは彼前で下着姿にり、フレデリックの子種が欲しいと言い出した。
さらに一週間後、部屋でクロエはシャワーを浴びているときに、フレデリックが来る。彼女は裸体を拭かせて、誘うようにベッドに体を横たえる。フレデリックは服を脱ぎかけるて鏡に映った自分を見ると、突然妻子のことを思い出す。
彼は、何も言わずクロエの部屋を去った。フレデリックはその足で自宅に帰り、やつれたエレーヌを見つけて愛を囁く。すると、彼女は泣き出す。そして、二人は寝室へ消える。