1936年にナチスから逃れたフリッツ・ラングの渡米8作目。
レイ・ミランド主演の「巻き込まれ型」スパイ・サスペンス。ヒロインは「スイングホテル」に出演していたマージョリー・レイノルズ。
あらすじ
ニールは数年ぶりに精神病院から退院を許される。ロンドンへ出発する前に近所の慈善バザーに立ち寄る。ケーキの重さを当てるゲームを行っていたが、占いをしていた老婆にケーキの重さを教えてもらい、見事賞品のホールケーキを獲得する。ロンドンへ列車で向かう途中、ドイツ軍の爆撃に遭う。何故か同乗の盲人コスタがケーキを狙ってニールを襲ってくる。盲人は爆撃に巻き込まれて姿を消すが、ケーキもなくなってしまう。
ロンドンに着いて、ケーキの謎を解こうと探偵と共にバザーの主催団体を訪ねると、事務長のウィリー・ヒルフェと妹カーラがいた。二人はニールの相談に乗ってくれて、兄ウィリーが占い師の元に連れて行く。しかし本物の彼女は若く美しく、全くの別人だった。降霊術を行うので参加してみると、暗闇の中でニールの前科をズバリ言い当ててしまう。ニールが怒ると、銃声がして、コスタにそっくりな人物が死んでいる。ニールは逃げ出してしまう。
ニールはカーラに助けを求め、ある書店に匿われる。しかし殺人事件は新聞に一切報道されず、何か妙だ。政府の顧問をしている有名精神科医フォレスター教授は降霊術の場にいたが、彼が被害者の脈を確認したはず。教授を怪しいと思ったニールとカーラは、彼の居場所に侵入するが、爆弾が炸裂して二人とも倒れる。
ニールが目覚めると、そこは警察病院だった。探偵の死体と一緒に倒れていたそうだ。刑事は彼の話を聞き、最初に爆撃を受けた場所に証拠が残ってないか調査する。すると、ケーキの中から軍事機密を撮影したマイクロフィルムが現れる。警察はフォレスターに興味を抱き、彼の仕立屋トラヴァースを訪問する。何と仕立屋はコスタだった。彼は二度までも死んだふりをしていたのだ。逃げられないと悟ったコスタは自決するが、彼が生前掛けていた電話番号を追って慈善協会の本部に行き着く。カーラは何も知らなかったが、ウィリーがナチの一員だったのだ。逃亡するウィリーを射殺したのは、カーラだった。そこへフォレスターとナチスのスパイが現れ、雨中の銃撃戦となる。
雑感
名作と言われているが、もう少しフリッツ・ラングのペースで撮らせてやれば、原作がグレアム・グリーンなのだからもっと面白くなったはず。
脚本も編集もイマイチで、ご都合主義映画にしか見えなかった点が残念だ。
スタッフ・キャスト
監督 フリッツ・ラング
製作 シートン・I・ミラー
原作 グレアム・グリーン
脚本 シートン・I・ミラー
撮影 ヘンリー・シャープ
音楽 ヴィクター・ヤング
配役
スティーヴン レイ・ミランド
カーラ マージョリー・レイノルズ
ウィリー カール・エスモンド
コスタ ダン・デュリエ
フォレスター医師 アラン・ネイピア
探偵レニット アースキン・サンフォード
ベレイン夫人 ヒラリー・ブルック