はじめは無声映画と思わせる演出で刑事たちが一つの事件を解決する。トーキーに戻ってから、刑事と恋人が夜の街に遊びに行くところからが本編。刑事と喧嘩をして別れた恋人は真夜中に恐ろしい目に会う。監督は英国時代のアルフレッド・ヒッチコックで、英国トーキー映画第一弾。
あらすじ
アリスは恋人の刑事フランクと喧嘩してある画家と付き合う。その夜、画家の部屋に行きモデルになるが、画家に襲われたので思わず刺し殺す。
アリスは、思わず現場から逃げ出すが、その姿をトレイシーに見られる。
フランクが捜査を担当し見覚えのあるアリスの手袋が現場に落ちている。フランクはアリスの実家へ行くが、そこにトレイシーが現れ強請る。
しかし捜査線上にも近所でトレイシーの姿が見られていて、事件の容疑者として挙げられた。フランクはトレイシーを身代わりの犯人にすることに気付き、警察に連絡する。
トレイシーは捜査陣に追い詰められ、転落死する。
これで犯人死亡という形で一件落着だ。
しかしアリスの心は晴れなかった。
雑感
我が儘なGFが恐怖の体験をして、さらに良心の呵責に一生悩まされるという悲惨な経験をする。男からすれば、いい気味だと言えなくもない。
この映画考えてみると、正しい人間というのが出てこない。それぐらい大恐慌下の大英帝国は不正が横行していたのか。
途中までサイレントとして作られていたが、急遽トーキーに変わったそうで、最初のエピソードはほぼ無音である。
映像は後のヒッチコックの原型が多数見られる。
例えば画家が自室にアリスを連れ込む際に、最上階まで階段を上るシーンを真横から映すシーンは何か悪いことが起きる予感をさせる。
主役のアニー・オンドラはポーランド人で英語訛りが酷かったため、吹替を使っている。
スタッフ・キャスト
監督/アルフレッド・ヒッチコック
脚本・原作/チャールズ・ベネット
撮影/ジャック・コックス
音楽/ジミー・キャンベル&レグ・コネリー
製作/ジョン・マックスウェル
キャスティング
アニー・オンドラ (アリス) ※声の吹替ジョーン・バリー
ジョン・ロングデン (刑事フランク)
ドナルド・カルスロップ (ゆすり屋トレイシー)
シリル・リチャード (画家)