高岩肇のオリジナル・シナリオを、「散歩する霊柩車」の佐藤肇が監督した怪奇映画。

主演は西村晃。共演は、楠侑子、江原真二郎、加藤武
白黒映画。

あらすじ

宗方芳江の夫信一は、精神病院で死亡した。信一は情事のために買った元富永男爵の別荘で三沢ユミコと不倫していたが、突然ユミコが変死し自分も発狂したので病院に閉じ込めていたのだ。
芳江はそれ以来悪夢に悩まされる。彼女は、夫が発狂した原因を探るために別荘に赴いた。
翌日、精神科医で義父圭介、弟子の山下、看護婦和子が別荘も訪れた。さらに山下の恋人で病院理事長の娘秋子、磯部弁護士、信一の元の愛人あけみまで現れた。あけみは、遺産の取り分を請求に来たのだ。しかし、怪事件が何度も起きて、あけみの死体が古井戸の中から発見された・・・。

雑感

この頃は、東宝、東映、松竹各社とも現代怪奇映画が流行っていた。東宝版の「血を吸う薔薇」シリーズは少し怖いが、東映版(松竹版も)は全然怖がらせようとしていない。そうするうちに、ハリウッドから映画「エクソシスト」が登場して、一気にブームは冷めていって、各社揃ってパニック映画に移って行った。

「川口浩探検隊」の先代隊長であり二代目水戸黄門様である西村晃が主演する怪談映画シリーズの一つである。館モノでもある。実は西村晃は、小柄で身軽である。傴僂男に霊が乗り移って、ぴょんぴょん飛び移るシーンはあるが、若い頃の彼なら、スタント無しでも出来たはずだ。もしかしたら、大部分はスタント無しかも知れない。こういう動きは、戦前の化猫映画と同じだと感じた。

しかし、展開に無理がある。

あけみが死んだところで普通は警察を呼ぶだろう。呼べば、警官一人は張り込むだろう。
しかし、映画はその辺りを省略している。怪談だから、その辺りの省略はやむを得ないのかも知れないが、見ていて気持ちが乗らなくなった

スタッフ

企画  園田実彦
脚本  高岩肇
監督  佐藤肇
撮影  西川庄衛
音楽  菊池俊輔

 

キャスト

せむし  西村晃
宗方芳江  楠侑子
宗方圭介  加藤武
白川和子  葉山葉子
山下隆  江原真二郎
藤井秋子  弓恵子
磯部弁護士  加藤和夫
横田あけみ  春川ますみ
霊媒  鈴木光枝
とも子  桑原幸子

 

***

山下は、霊媒師を呼んで信一の霊を呼びだそうとした。霊媒はユミコを焼殺したことを告げた。突然、管理人である傴僂男が地下室に下りていった。そこには、祭壇が飾られていた。それは、傴僂男の兄であり、戦時中軍人に牢に入れられ餓死した富永男爵の墓だった。信一に兄の霊が乗り移り、次に傴僂男に移って、別荘の来訪者を次々と呪い殺しているのだ。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                    やがて、霊媒や山下、秋子も霊に殺され、圭介は芳江に刺され、芳江は傴僂男に殺された。和子も霊に取り憑かれ、焼身自殺した。
惨殺劇が終わると、傴僂男から兄の霊は消えていた。

怪談せむし男 1965.8 東映東京製作 東映配給

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