日本少林寺拳法の祖である宗道臣(本名中野理男)が敗戦後満州から引き揚げ、焦土と化した日本で武道によって若者の敗戦に荒んだ心を正そうと、幾多の妨害に遭いながら道場を開く姿を描く。
監督は鈴木則文。主演は千葉真一、共演は誠直也、佐藤允、志穂美悦子、中島ゆたか。
あらすじ
日本軍の特務機関に入って中国でスパイ活動をしていた宗道臣は、その地で少林寺義和門拳の伝法の印可を受けた。満州から引き揚げた道臣は闇市で不正を働くヤクザに正義の鉄拳を下した。大阪の阿倍野で道臣は浮浪児と共同生活を送った。道臣は満州で一緒だった菊と再会し、彼女も道臣を手伝い子供たちの世話を見た。暴力団赤松組が、子供たちに暴力を振るったことに怒った道臣は組事務所にのり込み大暴れした。赤松は道臣に米軍を嗾けて争わせ、MPを傷つけたため道臣は逮捕されるが、警察署長は米軍が身柄を引き取る前に赤松に逃げろと言う。道臣は、菊に子供の世話を託し、阿倍野を離れた。
その後、道臣は、四国・多度津に拳法の道場を開いた。暴力団岩佐組がのさばる多度津の人たちは事あるごとに道臣の道場へ足を運んだ。次第に門弟の数も増えていったが、拳士と暴力団の間には不穏な空気が流れていた。多度津の開発と称してこの地にやって来た赤松は、岩佐、地元警察を売収してひと企みするが、道臣にはばまれてしまう。怒った赤松らは道場へ乗り込むが、再び道臣の鉄拳を浴びせられるのだった……。やがて、少林寺拳法は今では全国に約二千の道院と六〇万人の拳士を擁するまでになっている。
雑感
身内で今も少林寺の道場に通っているのがいる。かれらが技としてライダーキックを使っているのをみたことがない。
おそらく宗道臣の伝記に対してかなり脚色をしているだろう。1980年に宗さんは亡くなるから、1975年に上映した映画のことは生前によく知っていたはずだ。かえってイメージが悪くなると諫言されたと思うが、宗さんはそんな意見をはねのけたのだろう。
おそらく千葉真一が仮入門して、器械体操と極真空手で磨いた高い技術を披露したので、お許しが出たと思う。
でも少林寺拳法は理論と型を重んじる武道だと思っていたから、千葉真一の空手を交えた少林寺拳法は仮面ライダーキックにしか見えなかった。
女優陣では中島ゆたかが相変わらず色っぽい。身を投げ出して短パンみたいなパンツを脱ごうとするシーンは不謹慎だが笑えた。
志穂美悦子の若い頃は顎が長くてあまり美人と思わなかったのだが、この映画もまだそんな時代だ。
スタッフ
企画 吉峰甲子夫 、 高村賢治
脚本 松本功
監督 鈴木則文
撮影 中島芳男
音楽 菊池俊輔
キャスト
宗道臣 千葉真一
大滝憲太郎 佐藤允
友田弘 誠直也
坂本菊 中島ゆたか
昌子 森秋子
美穂 志穂美悦子
道臣の少年時代 春日和秀
妻・宗吉野 北林早苗
村山仙造 河合絃司
娘村山典子 星みどり
岩佐多之助 名和宏
竹原 安岡力也
組長赤松栄 小池朝雄
松永軍次 苅谷俊介
坂井大佐 小松方正
馬賊の頭目 室田日出男
小早川信之 丹波哲郎