東映の少年探偵団映画の第3弾と第4弾(原作は「鉄塔王国の恐怖」)。
第1弾、第2弾に続きニッポン放送のラジオドラマ主題歌を流用している懐かしい作品。

3.かぶと虫の妖奇:
怪人二十面相(加藤嘉)は明智小五郎(岡田英次)に「二十面相の悪魔」事件で捕まって以来、刑務所に収監されている。その刑務所に司法長官が視察にやって来た。二十面相はこの機会に刑務官を殺して入れ替わり、司法長官を人質にとってヘリコプターで逃げ出すことに成功した。明智と警察は二十面相が核融合炉設計書を再度奪いに来ると考える。少年探偵団も怪しい男を尾行するが、その男は明智と少年探偵団への手紙を残して消えてしまう。翌日早速、原子力研究所が襲われる。しかし明智の発案で設計書を偽物と入れ替えていたため、本物は盗まれずに済んだ。しかし現場に8本足の足跡が残されていた。そして8チャンネルを見よと無線連絡がある。8チャンネルを見ると設計図を奪い、恨みのある明智らを失脚させるという。その後も8本足の何かが凄まじい力で家屋を破壊する事件が勃発する。そして相川博士宅に二十面相が学者に扮装して忍び込む。一旦は警察や明智に追い詰められるが、火を噴くかぶと虫装甲車が壁を破り二十面相を救出し少年探偵団の小林君らを攫っていく。

4.鉄塔の怪人:
敵のアジトに攫われた少年探偵団員のうち小林少年だけは脱出に成功する。怒った二十面相は、かぶと虫部隊で吉川博士と少年探偵団員の自宅を破壊して彼らを攫う。さらに8チャンネルに現れ、自らが建設した鉄塔王国で牢の中で研究を進める吉川博士や土木作業に就く少年探偵団の姿を画面に映し出す。明智小五郎は相川博士に化けて敵のアジトに潜り込み二十面相と会うが少年たちを解放する話し合いは決裂した。しかし敵の車のトランクに小林少年が潜り込み鉄塔王国の位置を探ろうとする。小林は鉄塔王国に潜り込み、明智にモールス信号で位置を知らせる。明智は上高地警察署から応援を借りて大部隊で鉄塔王国を急襲する。最期は明智と二十面相の一騎打ちになり、二十面相は足を踏み外して谷底に転落する。

第1作、第2作と比べて岡田英次宇佐美諄以外の大人の俳優はほとんど役を交代していた。
とくに名優加藤嘉怪人二十面相は吸血鬼ドラキュラをやらせた方が似合いそうな、痩せて背の高いクリストファー・リー型の怪優だった。当時の加藤は劇団民芸を辞めてフリーになり映画に出演していた。だから役を選り好みできなかったのだ。
南原宏治の怪人二十面相は変装は上手だが力強さや怖さがなかった。彼と比べると加藤嘉の方が怖くてずっと迫力があった。
この映画は滅多に見られない加藤嘉の怪優ぶりを愛でるものだ。最後に出てきた宇宙人みたいなマント付きコスチュームも含めて。

ツッコミどころ満載なのは前回と変わらない。今回も小林少年が、まりこを助けるためとは言え、投げ縄を敵工作員の首にひっかけて力一杯引き上げて倒すシーンがあった。本当に失神しただけだったのか。殺したんじゃないかw。中学生に殺させてはいけません。
警察が苦戦していたかぶと虫型自動装甲車もそうだ。あんなもの、自衛隊に手榴弾を貰ってくれば一発で壊れるのに何を大騒ぎしてるのだ。そもそもどうしてかぶと虫が8本足なのか。

因みに第8チャンネルが首都圏で空きチャンネルだったため、二十面相は8チャンネルを自由に使っていた。8チャンネルと言えばフジテレビだが、フジが放送を開始したのは2年後の1959年である。

少年探偵団 かぶと虫の妖奇 ・鉄塔の怪人 1957 東映

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