吉村監督と新藤脚本と聞いて、面白い切り口になるだろうと思ったが、全く違った。
長年勤め上げ定年・第二の人生を迎えた老父のお見合い話と、四人娘の恋模様を描くというありがちな話。
 

松竹家庭映画とどこが違うのかわからない。
増村監督に同じテーマで撮らせば良かったのに。
 

父平太郎は退職金150万円をもらい、貯金の100万円と合わせて、合計250万円を50万円ずつ四人娘と自分の五人で分けてしまう。
父は飲み屋の女に連れ込み旅館に誘われ、たかられるが、金をすでに分け与えてしまったというとぷいっと出て行ってしまう。
長女は会社の不倫関係で悩み、生活に疲れ50万円を開業資金にして安子の喫茶店を買い取る。安子は父の見合い相手である。
次女はイケメン長田に騙され50万円を兄の会社の運転資金に使われてしまう。彼女のストーカーである石辺が何かと彼女に忠告するが彼女は聞かない。
四女はちゃっかり屋で50万円を元手に同僚に金を貸し利息を取るが、そのお金が縁で同僚が結婚することになり、心中穏やかでない。
三女は家に入って、亡き母の代わりに一家の面倒を看ていたが、結婚寸前まで行っては二度も裏切られている。

 

女優は豪華絢爛のはずなのだが、何かの併映映画なのかぱっとしない映画である。
でも三女役の三条魔子はきれいだったな。

 

唯一のオチは、渋谷東宝の前で待ち合わせをしようと言われて、平太郎が大映かと聞き直すところだ。
東宝にはおそらく植木等の「スーダラ節」(東宝映画で何度も劇中歌、主題歌として使われた)を劇中重要なところで借用させてもらったので、そのお返しだろう。

 

監督 吉村公三郎
脚色 新藤兼人
原作 源氏鶏太
製作 永田雅一
撮影 小原譲治
美術 間野重雄
音楽 池野成

 

出演
山村聡 (三沢平太郎)
若尾文子 (長女一代)
叶順子 (二女二美子)
三条魔子 (三女三也子)
渋沢詩子 (四女志奈子)
月丘夢路 (安子)
藤巻潤 (石辺)
田宮二郎 (長田)
藤間紫 (玉子)
杉村春子
小沢栄太郎

家庭の事情 1962 大映

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