大蔵映画の典型的な作品だ。
中川信夫のB級ホラーとしても天知茂のサスペンスとしても入門的である。
しかし池内淳子は、もっと凄い大蔵映画「花嫁吸血魔」に出ている。
伊都子の誕生日に突然、20年前に失踪した母美和子が現れる。
しかも失踪したときの若さのままで。
その日から伊都子と美和子の身の回りで異変が起きる。
主人公(天知茂)は狼男と吸血鬼を足して二で割ったキャラの怪人だ。
月を見ると吸血鬼に変身する。
現代では誰も思いつかない発想だ。
最後のメイク、フリークスや怪入道も大蔵-中川作品にありがちなえげつなさ。
タイトルも「女の吸血鬼」の意味ではない。そんな人は出てこない。
女の血ばかり吸う吸血鬼の意味である。
夏だからといって大蔵映画をホラーのつもりで見てはいけない。
でも天知茂はのちに「非情のライセンス」「明智小五郎」というヒット作品を送り出した。
彼なりに中川監督の路線を一生かかって真剣に追い求めたような気がする。
製作 大蔵貢
監督 中川信夫
原作 橘外男
出演 天知茂
三原葉子
池内淳子
五月藤江
中村虎彦
和久井勉
女吸血鬼 1958 新東宝