片岡千恵蔵アクション映画(ノン・シリーズ)。またまた正体不明として現れ、正体は・・・のパターンだ。
新東宝で怪映画をたくさん撮って、東映に移籍した石井輝男監督・脚本作品でもある。
主演は片岡千恵蔵だが、主に探偵として動くのは江原真二郎佐久間良子の役割。悪役は山形勲、丹波哲郎、梅宮辰夫

あらすじ

健次は対馬に遊びに来て、玄界灘で奇妙なブイを釣り上げた。彼は男達に襲われ、屋敷に拐われる。水原という男は他人に健次に五十万円を与えたが、酒を飲んだ健次は気を失い、暴走するモーターボートへ乗せられた。
健次は、広上という初老の男に助けられる。翌日、屋敷に戻った健次はそこが歌舞伎役者枝雀の別荘であることを知った。水原も50万円も消えていた。広上に言われた通り、対馬のボス藤村を会うためにクラブへ行く。藤村は何も教えなかったが、ホステス朱実はその男が福岡へ行ったと教えてくれた。
福岡で歌舞伎役者を訪ねた健次は、若い男が枝雀を殺すのを目撃した。二人は、ブツの処分に神戸へ水原は行くと予想した。そこに追いかけてきた朱実も神戸出身のため、加わった。
水原は取引のため神戸に来ていた。取引相手の影山と陳は品物を横取りしようと計画を練る。広上は自分を加えろと脅した。取引当日、現れたのは水原ではなく子分松本だった。松本の手にする袋から宝石が出てくる。その時、対馬から尾けていた宗方が乱入した。ボスは横浜の松野……と言い残して松本は死ぬ。宝石は偽物だった。
本物の宝石を持った水原は横浜へ向った。だが横浜で何と松野組長に水原は撃たれる。宝石を独占するためだ。水原は何とか健次と朱美に助けられるが、もう長くはなさそうだ。
翌日再びあい見えた松野は、水原に打たれて死に、水原もついにこときれる。海上では逃亡を図る松野組の連中と広上の銃弾戦が始まったが、海上保安庁の巡回船によって一網打尽にされた。実は広上こそ密輸取締官だったのだ。
健次はその事実を知り唖然として、「対馬でボート屋のオヤジにでもなるか」と言う。それを聞いた朱美の表情が明るくなった。

雑感

実は片岡千恵蔵は美味しいところしか顔を見せず、江原真二郎佐久間良子が主にアクションシーンを受け持っている。千恵蔵御大も若手に後を任せる時期がきたのだ。
おそらく千恵蔵御大では、客がもう入らないと言うことなのだろう。そう言う意味で感慨深い作品だった。

しかし石井輝男らしい異常さは全く無かった。

スタッフ

製作 大川博
企画 植木照男
脚本 石井輝男
監督 石井輝男
撮影 西川庄衛
音楽 河辺公一

キャスト

船乗り広上 片岡千恵蔵
吉田健次 江原真二郎
水原 丹波哲郎
竹林 八名信夫
対馬のホステス朱実 佐久間良子
地元のボス藤村 吉田義夫
水原のダイヤを狙う宗方 梅宮辰夫
宗方の子分大野 小野透(かとう哲也;美空ひばりの弟)
加山 亀石征一郎
横浜のヤクザ影山 富田仲次郎
陳社長 山形勲
兵藤 南廣
中野 沢彰謙
松野完治 佐々木孝丸
土井 片山滉
剛田 伊沢一郎
船長 松本克平

太平洋のGメン 1962 東映東京製作 東映配給

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