コール・ポーターの伝記映画という触れ込みだったが、彼は最初から仮面夫婦で夫婦生活については全くの虚偽表示である。コール・ポーターはホモセクシャルだったのだが、妻はそれを知って結婚したのだ。
監督はマイケル・カーティス、主演はケイリー・グラント、アレクシス・スミス。
ワーナーブラザーズ・トーキー公開20周年記念映画として日本で公開されたそうだ。
日本での配給を受け持ったセントラル映画社は、進駐軍の外郭団体である。CMPE と略され、1951年日本が独立した年に解散した。
あらすじ
エール大学法学部に通っていたコール・ポーターは大学を辞めて、作曲家を目指す。幸い、エール大学の縁でモンティ教授が舞台監督を勤めスポンサーも付き、初めてのショーを行うことが出来る。しかしニューヨーク発リバプール行きルシタニア号がUボートに撃沈されたため、急遽中止となる。コールは失意のまま、第一次世界大戦のフランス義勇兵となり戦場で負傷し、知人の赤十字看護師リンダに介抱される。欧州文化に触れ帰国後、なかなかインテリ臭さが抜けなくて売れなかったが、次第にヒットが出るようになった。そこで再びモンティと組んでブロードウェイ・ミュージカルを行い、成功する。リンダとも再会し結婚する。しかしコールの仕事が忙しいのは変わらず、夫婦水入らずを望むリンダはヨーロッパへ逃げてしまう。その後、コールはケガをして歩けなくなるが、そんな時リンダの有り難みが分かる。そしてエール大学の同窓会に呼ばれてモンティや皆から祝福されている時、客席にリンダの顔を見つける。楽屋裏で二人はひしと抱き合うのだった。
雑感
コール・ポーターが存命中しかも現役バリバリのときの伝記映画である。ほぼ粉飾映画と言える。
この準主役とも言えるモンティ・ウーリーは、エール大学でコール・ポーターの学友兼ホモ・セクシャルだったそうだ。モンティは決して教授だったことはないが、教鞭をとっていたことは事実。そこからショービジネスの舞台監督や映画出演したのは映画の通り。コール・ポーターと関係が続いたわけではなさそうで、モンティは別に愛人を作っていた。
ジニー・シムズ、ジェーン・ワイマン、メアリー・マーティンなどの芸達者女優が、次々とコール・ポーターの曲を歌ってくれるので、そこだけは評価できる。
とくにメアリー・マーティンは実際にコール・ポーターのミュージカルに出演して、歌ったそうだ。彼女はラリー・ハグマンの母である。
ドロシー・マローンの歌声は吹替だろう。
スタッフ・キャスト
監督 マイケル・カーティズ
製作 アーサー・シュワルツ
原作 ジャック・モフィット
脚本 チャールズ・ホフマン 他
撮影 ペヴァレル・マーレイ 、 ウィリアム・V・スコール
音楽監督 レオ・F・フォーブステイン
編曲 レイ・ハインドーフ
配役
コール・ポーター ケーリー・グラント
妻リンダ・リー アレクシス・スミス
友人モンティ・ウーリー 本人
歌手キャロル ジニー・シムズ
歌手グレイシー ジェーン・ワイマン
ゲイブリエル イヴ・アーデン
従姉妹ナンシー ドロシー・マローン
歌手メアリー・マーティン 本人