連続テレビ番組「新選組血風録」の好評を受けて、おなじ司馬遼太郎の原作を松竹が映画化した。
老舗松竹らしい薄暗いモノクロ映像だ。
主演の土方歳三にはもちろん栗塚旭、
近藤勇は和崎俊哉、
清川八郎に天津敏、
芹沢鴨には戸上城太郎、
土方のライバル七里研之助に内田良平、
ヒロイン佐絵はテレビドラマ出身の小林哲子。
監督は市村泰一、
脚本は加藤泰、森崎東、
音楽はテレビとおなじ渡辺岳夫。
内田良平はテレビ版の「燃えよ剣」(東京12チャンネル、黄桜酒造提供)で主演していた。
しかし東映映画「十三人の刺客」でもそうだったが、この人の殺陣は好きではない。
腰が入ってないような気がしてならぬ。
栗塚旭は1965年NETテレビ「新選組血風録」の後、1970年にNETテレビ「燃えよ剣」でも土方歳三役で主演した。
独特なクールさが、当時は大人気だった。
テレビだと彼は格好いいが、しかし映画だとどうか?
この映画でも、土方の天然理心流時代から池田屋騒動まで、大急ぎで内容がはしょられている。
彼は一時間半の間、数分おきに見せ場があり、見栄ばかり切ってる。
これでは見てる側も飽きてしまう。
テレビだと一日の内に一度だけ十分にタメを利かせて最後に、見栄を切ればいい。
だから彼は連続テレビドラマ向けの人である。
当時はテレビ時代劇が盛んになり、テレビと映画が連携し始めた。
それだけ東映映画の時代劇スター・システムが飽きられてきた。
しかしテレビでは大河ドラマを描くことができるが、映画では時間がなくて描ききれない。
だから、映画の方はそれほど成功しなかったと思う。
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