小川英と間藤守之が共同脚本を執筆し、杉江敏男が監督したスパイ・アクション映画。
カラー映画で、撮影は完倉泰一。
主演は三橋達也。
共演は佐藤允、水野久美、ジェリー伊藤。
雑感
日本の007フォロワーである三橋達也主演の国際秘密警察官・北見次郎シリーズ第一弾。
舞台は、ベトナム戦争真っ最中の南ベトナム(のちに北ベトナムが1975年、サイゴンが陥落して南北統一に成功する)。
この映画は、イギリスの本家「007は殺しの番号」より、クールな雰囲気でシリアス調に進む。
本家007の持つ荒唐無稽な武器やお色気シーンは、まだ出てこない。
日活だったら宍戸錠が気障な台詞も語れたのだろうが、東宝は硬派と軟派路線(社長シリーズや駅前シリーズ)の中間が弱い。
「大学の若大将」を撮った杉江敏男監督を起用したのだから、やる気になればできたと思うのだが。
加山雄三が運動能力の点で和製007にピタリだと思ったが、既に若大将シリーズで予定が埋まっていただろう。
この後、北見次郎シリーズ第三作になってから、コミカルな場面が多くなる。
ヒロインは水野久美だが、若林映子の身代わりになって死ぬ役。
キャスト
三橋達也 北見次郎
佐藤允 江崎夏雄
夏木陽介 秋元
児玉清 南ベトナム駐在員安西
河津清三郎 灰谷専務
若林映子 秘書津川美恵
水野久美 来宮冴子
ジェリー伊藤 ルドルフ・ケント
中村哲 ビンホア
滝恵一 反乱軍首領
浜村純 野々崎
伊藤久哉 手島
天本英世 周
谷内リエ メリー・園
スタッフ
製作 田中友幸、三輪礼二
脚本 小川英、間藤守之
監督 杉江敏男
撮影 完倉泰一
音楽 神津善行
ストーリー
南北にベトナムが分裂している時代。
豊光物産サイゴン支局員秋元らの目前で、政府のクエンが暗殺された。
これは、クエンを貿易のパイプに利用していた豊光物産にとって打撃だった。
敵一味の情報を収めた録音テープをもった豊光物産の秋元はサイゴンからの帰途、羽田空港でさらわれた。
一方、パリでは、国際秘密警察官北見次郎が死の商人、ルドルフ・ケントの行方を探す命令を受ける。
早速日本に移って、北見はルドルフ一味に接近した。
豊光物産では、秋元の同僚江崎をサイゴンに派遣する。
江崎が船に乗り込む前夜、江崎は知り合ったファッション・モデルの冴子とともにケント一味に掠われる。その冴子は、ルドルフの情婦であった。
ルドルフは、江崎のもつ暗号表が目あてだ。だが、この暗号は江崎がサイゴンで操作しなければ分からない物だった。ルドルフは、彼を秋元と共に密輸船に乗せてサイゴンに護送した。この船には秋元もとらわれていた・・・。
秋元は逃げようとして殺されたが、潜入していた北見により船は爆破される。北見と江崎は無事逃亡し、暗号票と共にサイゴン支店に到着する。
ルドルフは東京にもどり、秋元の恋人だった美恵を買収して、豊光物産の機密書類をもち出させようとするが、北見はそれを阻止する。
ルドルフは部下と冴子を殺し、ひとりで国際線飛行機に乗って国外に逃げた。北見も彼を追って、日本を旅立った。