在米イギリス人作家エリック・ナイト原作の前作「名犬ラッシー 家路」が好評につき、その続きの映画を2年後に製作した。
エリック・ナイトは既に亡くなっていたが、制作陣が時代を反映してジャンヌ・バートレットがオリジナル脚本を書いてS. シルバン・サイモンが監督している。
内容は、英国空軍に志願したジョーがドイツに占領されたノルウェーから逃亡するのに、ラッシーの息子が大活躍をするものだ。
主演はピーター・ローフォードと名犬パル。
共演はドナルド・クリスプ、ジューン・ロックハート。
テクニカラー作品。
あらすじ
サムは、ルドリング卿の犬の調教師として幸せな日々を送り、ジョーとプリシラも互いの思いを育てていた。ラッシーの息子としてラディーが生まれたが、やんちゃ坊主でサムの息子ジョー以外の言葉を聞かなかった。
数年後、戦局も激しくなり、サムも軍用犬の教育を任されるようになる。ラディーは全く軍用犬には不向きだった。
一方、ジョーは英国空軍に召集されノルウェー作戦で偵察機に搭乗すると、ラディーもどこからか機内に潜入していた。
ジョーの乗った偵察機はノルウェーで打ち落とされ、ジョーとラディーは離ればなれになる。
ジョーは、現地のレジスタンスに救助され、ラディも犬好きの子供に助けられる。しかしレジスタンスはドイツ軍に捕まり、レジスタンスは殺されて、ジョーは、捕虜収容所に入れられる・・・。
雑感
原作者エリック・ナイトは第二次大戦中にスリナムで米軍軍用機の墜落事故で亡くなったので、ラッシーがまさかこういう使われ方をするとは思っていなかっただろう。
しかし第二次世界大戦中という時代背景があるので、戦意高揚のためにも動物映画である「名犬ラッシー」が戦場で活躍することもやむを得ない。
ただサイレント映画時代からの犬俳優の先輩に当たる「名犬リンチンチン」は獰猛なジャーマン・シェパードだったが、ラッシーはラフ・コリー種であるため、あまりハードな戦闘には適さない。
成犬になってからのラディを演じたのも、ラッシーを演じたパルだ。ラディの幼年時代を演じたのはラッシーの息子らしい。
映画「名犬ラッシー 家路」では、ラッシーだけが奮闘していたが、今回はジョー(ロディ・マクドウォールからピーター・ローフォードに交代)もアクション・シーン満載である。
如何にも上辺だけのアクションだが、如何にも戦争映画らしい。
前作でエリザベス・テイラーが演じていたプリシラは、棒演技のジューン・ロックハートが演じている。
スタッフ
監督 S. シルバン・サイモン
製作 サミュエル・マルクス
原案 エリック・ナイト
脚本 ジャンヌ・バートレット
音楽 ハーバート・ストットハート
撮影 チャールズ・エドガー
キャスト
ラッシー、成犬後のラディー パル(クレジットはラッシー)
ジョー・カラクルー ピーター・ローフォード
サム(ジョーの父) ドナルド・クリスプ
プリシラ ジューン・ロックハート
ルドリング卿 ナイジェル・ブルース
***
しかし彼は脱走し現地の漁師と暮らしていた。その後、ジョーはノルウェー人としてドイツ軍によって強制収容所送りになる。
ラディは匂いを頼りにジョーのいた強制収容所に入り込む。その看守がラディの匂いを利用して、ジョーを捕まえようとする。ラディはジョーが強制収容所に紛れ込んでいることを察知し、看守に再び捕まるが、隙を見てラディとボートで海に出る。
やがてジョーとラディはヨークシャーに帰還して、サムやプリシラの元に無事な顔を見せるのだった。