京都アニメーション株式会社(京アニ)は、静止画のような美麗なアニメーションを描くアニメーター軍団を抱えて、国際的にも評価が高い制作会社である。
その京アニが2014年4月から6月までテレビ放送した高校吹奏楽アニメ「響け!ユーフォニアム」は各界の吹奏楽関係者を巻き込んで大きな反響を呼んだ。そして2016年4月にはテレビ放送の総集編「響け!ユーフォニアム~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~」が劇場公開された。(監督 山田尚子) アフレコはテレビの使い回しでなく、わざわざ録り直しをした。
お話の内容は、主人公である久美子が北宇治高校(共学)へ入学し、吹奏楽部で3人の仲間(麗奈、緑輝、葉月)さらに新しい指導者である滝先生と出会い、力を合わせて京都府大会を勝ち抜く様子を描いている。主人公の持つ楽器がユーフォニアムというあまり知られていない低音の金管楽器だから、このような原作タイトルが付いたのだ。
ちなみに登場する女の子は可愛いが、出来ないものは去れというガチの体育会系吹奏楽アニメである。まず目を見張るほど美しい背景映像が満載だ。そして努力が身を結ぶときに鳴り響く吹奏楽が涙無くして聞けなかった。
原作は同志社大学出身武田綾乃の青春小説であり、原作第1巻「北宇治高校吹奏楽部へようこそ」がテレビ第1期として放送された部分に対応している。
さらに同年10月から12月まで続編である「響け!ユーフォニアム2」がテレビ放送された。これは京都大会金賞の後、大阪の強豪校とぶつかる関西大会を見事勝ち抜き、全国大会に出場し、最後は先輩三年生を主人公が卒業式で送り出すまでを描いた。厄介ごとは嫌いな主人公久美子が否応なく複雑な人間関係に投げ込まれ、様々な先輩の気持ちを知る中で、人間的に成長するさまが見物である。
原作第2巻、第3巻と第4巻(短編集)の一部がテレビ第2期に対応している。
そして今回発表になったが、この総集編「響け!ユーフォニアム~届けたいメロディ~」で今年9月30日から劇場公開される。監督は小川太一になる。
それは予想がついていたのだが、さらに予想の斜め上まで京アニは動かして来た。
総集編に続いて「響け!ユーフォニアム」の新作映画二本「みぞれと希美の物語」(監督山田尚子)と「2年生になった久美子たち」(監督石原立也)を2018年から順次劇場公開する予定だそうだ。
また武田綾乃の原作小説も「響け!ユーフォニアム~波乱の第二楽章~」前編が今年8月に、後編が10月に出版される。
京アニは、いくら視聴率を稼いでもBDが売れなくて赤字になるテレビアニメから、収益が会社に直接入る劇場用アニメへ移行する気である。既に聴覚障害者と健常者の間の複雑な恋愛関係を描く劇場版「聲の形」を公開して文科省のお墨付きを得て、教育関係に強いコネを持っている。「響け!ユーフォニアム」の久美子編の続編は劇場版に移して、余裕があれば「響け!ユーフォニアム」の外伝(立華高校マーチバンド編)をテレビアニメとして放送する気だろう。そうやって映画で得られた利益をテレビ視聴者に還元していけば良い。
まだまだユーフォ・ビジネスは終わりを迎えない。