市川雷蔵主演の「剣」三部作第二作は現代の大学剣道部を舞台に、ストイックにスポーツを突き詰めた結末を描く。
三島由紀夫の同名小説を舟橋和郎が脚色、三隅研二が演出した。
東京オリンピックの年だったから、こういう映画が求められたんだろう。

 
共演はともに松竹からフリーになった川津祐介藤由紀子、さらに長谷川明男

 

あらすじ

 
大学剣道部国分次郎四段は、純粋に剣道に打ちこんでいた。同輩賀川四段は、遊び人タイプで、国分と正反対だった。
木内監督は二人の立場の違いを理解しながら、全国大会優勝を目指して、妥協することなく剣の道に生きる国分を主将に推した。しかし一抹の不安も感じていた。
夏合宿費用を作るため、監督の口利きで毎年部員はデパートでアルバイトをする。
賀川がアルバイト中に喫煙をして、統率者として主将が叱られる。国分は部員全員を前にして賀川に正座40分の制裁を課した。
辱められた賀川は、国分が童貞に違いないと確信し、セフレの恵理を使って国分を誘惑させた。
その後恵理は、国分と関係したと告白した。
夏合宿の日、国分の厳しすぎる指導に反感と妬みを感じた賀川は昼休み中の部員を水泳に誘う。そして国分と恵里との関係を部員にバラす。
国分に心酔していた後輩壬生だけは合宿所に残るが、監督にバレそうになり、一人だけ良い子になりたくなくて皆と一緒に泳いだふりをした。木内監督の雷が落ち、主謀者の賀川だけは東京へ返される。国分は責任を痛感していたようだ。
合宿最終日の夜、国分は消えた。全員で探すと、剣道着を身につけ自殺した国分が発見される。
東京に戻って、恵理は国分は何もしなかったと賀川に告白したが、それは賀川も承知のことだった。
 

雑感

 
男同士の汗の世界を描いた原作には女性の要素はない。営業側の要望のため、映画に女性を出したが、結局話の大筋は変わらなかった。そういう意味で良い映画化だ。
 
三島由紀夫自身はこの映画作品を、上映後に出来た加藤剛主演のドラマと比較して、より高く評価していた。
たしかに、三隅監督は上手く撮ったし、こういう主人公は市川雷蔵しかない。
「炎上」(1958)より分かりやすかった。
 

 

スタッフ・キャスト

 
監督 三隅研次
原作 三島由紀夫
脚色 舟橋和郎
企画 藤井浩明 、 財前定生
撮影 牧浦地志
音楽 池野成
 
国分次郎 市川雷蔵
恵理 藤由紀子
同僚賀川 川津祐介
後輩壬生 長谷川明男
師匠木内      河野秋武
国分誠一郎 稲葉義男
国分ひろ子 角梨枝子
 

剣 1964 大映 三隅研二・市川雷蔵の剣三部作第二弾

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