高倉健さんの任侠映画。しかし義理人情だけでなく、自ら手をかけた男(池部良)の一人娘(池上季実子)を思いやる心がいじらしい。

東龍会の加納は関西ヤクザに寝返った松岡を殺害した。そして松岡の娘洋子を舎弟のに託して自ら収監されて、自分のことをブラジルの伯父ということにして洋子と文通を続ける
出所した加納は堅気になりたかった。坂田会長が組結成を持ちかけたのも断り、洋子にクラシック喫茶で声をかけられても人違いだと無視する。諦めきれぬ坂田会長は加納を息子道郎の相談相手に抜擢する。しかし関西連合のヤクザは坂田を暗殺し、東龍会の幹部川辺を懐柔した。さらに関西連合は道郎を狙ってるという噂が流れる。加納は洋子に電話をかけてまた外国へ行くと嘘をつき、川辺の元に向かう。

池上季実子の若さと色気が多少鼻に付いたが、思った通り三浦洋一相手に色気づいていた。健さんは名乗れないばかりにそれを指を加えて見ていなければいけない。それでも川辺(小池朝雄)を討つ前に、舎弟の三浦洋一を無理矢理堅気にして洋子と幸せになれという。ここら辺のやせ我慢が男だねえ。

心情を重んじてアクションも恋愛も控えめな感じは如何にも倉本聰の脚本だ。間の取り方が高倉健なのだ。この縁でこの後、高倉健主演の二作品(「駅 STATION」「海へ~See You~」)の脚本を描く。
クロード・チアリの音楽も都会派ヤクザ映画にぴったり。
俳優の中では寺内貫太郎と違って融通の利く小林亜星がお笑い担当。

監督 降旗康男
脚本 倉本聰
撮影 仲沢半次郎
音楽 クロード・チアリ

配役
加納秀次 高倉健
松岡洋子 池上季実子
南幸吉 田中邦衛
竹田乙彦 三浦洋一
坂田良吉 藤田進
坂田道郎 北大路欣也
立花道夫 夏八木勲
山辺修 小池朝雄
三枝信吉 岡田眞澄
山本武彦 寺田農
中井俊助 天津敏
大谷五郎 山本麟一
ミナケン 峰岸徹
柿沼三郎 小林亜星
石井富吉 今井健二
花井喜一郎 小林稔侍
松岡幸太郎 池部良
メリー 倍賞美津子
一郎 大滝秀治
陳 小沢昭一

冬の華 1978 東映京都

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