ミステリ作家フランク・グルーバーの原作小説「六番目の男」をボーデン・チェイスが脚色し名匠ジョン・スタージェス監督が「日本人の勲章」と同時期に撮影した西部劇。製作は名プロデューサー、アーロン・ローゼンバーグ
主演はリチャード・ウィドマーク、紅一点はドナ・リード

 

 

あらすじ

 
南北戦争末期、アリゾナのヒラ・バレーで6万ドルの金塊が発見されるが、アパッチ族に襲撃され、五人が殺される。
戦争終結後のある日、男がヒラ・バレーで墓を暴いている。そこへカウボーイ姿の女性がやって来る。男はジムと云い、彼の父が金塊を見つけた一人であり、その墓を探していた。女はキャリルと云い、発見者の一人の妻である。さらにジムを狙撃するウェルカー一族が現れたが、返り討ちに遭う。ウェルカーも発見者の弟の一人で金塊を探していた。ジムは六人目の白人がいて、アパッチの襲撃から逃れて金塊を持ち去ったと推理する。
 
地元の保安官から遺体を墓に埋めたのは、北軍ツーソン騎兵隊のレイク曹長と言う情報を得て、レイクに会いに行く。しかしアパッチ族の襲撃を受けてレイクは襲われ、「身元不明の犠牲者は片腕がなかった、テキサスの馬に乗った六人目の白人がいた」と云う言葉を今際の際に遺す。ジムもキャリルも片腕のない男に聞き覚えはなかった。
 
テキサスにあるカーソン少佐の牧場を訪ねると、果たして片腕のない男はカーソン少佐の甥だった。すると六人目はキャリルの夫か、ジムの父のいずれか?カーソン少佐は翌日の決闘で手勢を集めていて、ジムに参加を勧める。ジムは決闘の相手バニウェルが最近やって来た牧場主で6万ドルの設備投資を行ったと聞いて、六人目の男に違いないと考える。そして単独で面会に行くが、途中でカーソン派の保安官に捕まってしまう。
ところがジムがブタ箱に放り込まれた保安官詰所をバニウェル一派が襲う。バニウェルに会った途端に瞼の父であることに気付いたジムは、想像とかけ離れて悪辣非道な父と戦うことを決意する。父は先ずジムに、腹心の早撃ちジョニーとの決闘を命じる。ジムが一発でジョニーを倒すのを見て、父は息子の腕を認め、決闘を受諾するが、そのときカーソン一派が現れ、背後から父を射殺する。ジムは行き場のない悲しみに包まれ、キャリルとその場をあとにする。

雑感

良くある復讐目的の西部劇だと思っていると、ウェスタン風「巨人の星」だったw。
舞台は南北戦争後のアリゾナからテキサスに掛けての話である。駅馬車が移動手段であり、1870年代のインディアン戦争の頃だろう。
 
フランク・グルーバーは1930年代から活躍した推理小説家、脚本家である。得意の西部劇だけでなく、コージー-ミステリまで書いた。この作品の場合、父親の登場をもっと遅らせた方が面白かったと思う。原作者が改変を嫌ったのだろうか。
 
それにしてもこの映画を見ていると、日本のヤクザ映画の原型が西部劇だとよく分かる。

 

 

 

スタッフ・キャスト

監督 ジョン・スタージェス
製作 アーロン・ローゼンバーグ
原作 フランク・グルーバー
脚色 ボーデン・チェイス
撮影 アーヴィング・グラスバーグ

配役
ジム       リチャード・ウィドマーク
未亡人キャリル  ドナ・リード
早撃ちジョニー  ウィリアム・キャンベル
新興牧場主バニウェル ジョン・マッキンタイア (西部劇の名脇役)
カーソン少佐  バートン・マクレーン

六番目の男 Backlash 1955 ユニバーサル映画 リチャード・ウィドマーク主演

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