「人造人間クエスター」は「スタートレック宇宙大作戦」のプロデューサー、ジーン・ロッデンベリーが当初連続テレビドラマとして計画し、まずパイロット版として1時間半のテレフィーチャーを製作しNBCで放送した。
もし連続ドラマ化していれば、ヒットするしないは別にして非常に面白いものができたと思う。しかし放送局のNBCと配役について意見が衝突して、計画も頓挫した。
Synopsis:
まずシスティーナ礼拝堂のミケランジェロによる天井画「アダムの創造」が映され、このエピソードが創世記に関係することを示唆している。
ノーベル賞を2度受賞していたバスロビック博士が謎の失踪して三年。博士が生涯研究していたアンドロイド計画「クエスター」はダーロ博士を中心とするチームで進められていた。しかしクエスターのOSあるいはソフトウェアを解析する際、間違って半分の磁気テープを消去してしまう。
ハードウェアを完成させたダーロは、基本学習データとして大学図書館のデータを磁気テープ化して読み込ませるが、クエスターは動作しない。バスロビックの弟子だったロビンソン助手は、バスロビック博士がクエスターに用意していたテープをたとえ半分でも読み込ませるべきだと主張し、ダーロも了承し読み込ませる。それでも動かない。
その夜、誰もが寝静まった頃、クエスターは目覚め自分の身嗜みを整えてロビンソンの前に現れる。全てはバスロビック博士の仕組んだことだった。しかし博士がクエスターに残した情報のうち半分が失われたおかげで、クエスターには感情が欠落していた。
クエスターはロビンソンとともにバスロビック博士を探す旅に出る。一方クエスターに騙されたダーロ博士は二人の行方を追う。
クエスターたちは英国に向かう。そこでレディ・ヘレナという美魔女に出会う。彼女はバスロビック博士の重要な協力者で、クエスター専用の国際諜報施設を準備していた。しかしロビンソンはウォーターゲート並みの盗聴装置を見て、博士が世界征服を計画していたとしか思えず、思わずダーロに連絡してしまった。
クエスターは三日内に博士を見つけないと時限装置が作動して体内の核融合装置が大爆発を起こす。彼は死に場所を探していた。しかし公園にあった子供達の遊び道具「ノアの箱舟」を見た瞬間、博士がどこにいるのかを悟った。そのとき、背後に迫っていた秘密部隊が発砲してクエスターは倒れる。
ダーロとロビンソンは必死に修繕し、クエスターは意識を取り戻す。後はクエスターが撃たれた部分の映像を見ながら指示してロビンソンが修繕した。
ダーロは、クエスターに博士を探させる自由を与える条件として発信機を体内に取り付けることをロビンソンに承諾させる。
そしてクエスターとロビンソンはノアの箱舟が着いたと言われるトルコのアララット山を訪れる。ダーロが率いる米仏特殊部隊もすぐ追いかけている。しかもクエスターの自爆装置が作動するまで時間がない!
バスロビックが預言者でクエスターはその代行人として創造された。その究極の目的は人類をもう一度整理して、アダムとイブから育て直そうと言うことらしい。
こう言う考え方は、西洋人は普通だが、日本人にとって「新世紀エヴァンゲリオン」のエンディングがそうだったように、ショッキングなものだ。この話がどう言う連続ドラマになるかを知りたかった。
NBC(町山智浩はABCと言っているようだがNBC) はロビンソンの役自体が不要であると考えたようだ。「逃亡者」のようなパターンにしたかったのか?おそらくロッデンベリーの考えている内容と大きくずれていたはずだ。当然ロッデンベリーは受け入れられず、この番組はお蔵入りとなった。
しかし当時ABCテレビでは「600万ドルの男」「地球最強の美女バイオニック・ジェミー」(第3シーズンのみNBC)が大ヒットしていた。サイボーグやアンドロイドものが飽和していると考えれば、テレビシリーズ化は難しいと考えるのも当然で、時代が悪かった。
ロッデンベリーは「人造人間クエスター」のアイデアを10年経って「スタートレック THE NEXT GENERATION」のアンドロイド・データ少佐に活かして、きっちり元を取り返している。
日本では1977年1月2日にNHKで少しカットして吹き替えで放送された。この日は萩尾望都の「11人いる!」のドラマ版を放送した日でもある。
クエスターの声はフランク・シナトラやドナルド・サザランドの声を当てていた家弓家正で、ロビンソン役は俳優の天田俊明だった。これはどちらもかなり違和感があった。クエスター役を野沢那智に振り、ロビンソン役を矢島正明に振るほうが良かったのではないか。よく考えたら「0011ナポレオンソロ」と同じだが。
製作総指揮 ジーン・ロッデンベリー
監督 リチャード・コーラ
原案 ジーン・ロッデンベリー
脚本 ジーン・L・クーン
プロデューサー ジーン・ロッデンベリー
監督 リチャード・コーラ
原案 ジーン・ロッデンベリー
脚本 ジーン・L・クーン
プロデューサー ジーン・ロッデンベリー
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キャスト(吹替)
ロバート・フォックスワース:クエスター(家弓家正) エリザベス・モンゴメリーの最後の夫
ロバート・フォックスワース:クエスター(家弓家正) エリザベス・モンゴメリーの最後の夫
マイク・ファーレル:ジェリー・ロビンソン助手(天田俊明)
ジョン・ヴァーノン:ジェフリー・ダーロ博士(鈴木瑞穂)
リュー・エアーズ:ヴァスロヴィック博士(宮内幸平)
ダナ・ウィンター:レディ・ヘレナ(藤波京子) 初代「ボディスナッチャー」の主人公の恋人役
エレン・ウエストン:図書館員アリソン・サンプル(此島愛子)
人造人間クエスター 1974 ユニバーサル制作 NBC放送(TVM) 幻のアンドロイドSFドラマ