ブロードウェイ・ミュージカル「ノー・ノー・ナネット」の3度目の映画化で、1950年製作のテクニカラー・ミュージカル映画。
ウィリアム・ジェイコブスが製作し、デヴィッド・バトラーが監督した。脚色はハリー・クローク、音楽はレイ・ハインドーフ。
主演はドリス・デイ、ゴードン・マックレー、ジーン・ネルソン。
共演はイヴ・アーデン、ビリー・デ・ウルフ、S・Z・サコール。
あらすじ
1929年の大恐慌下、マックス氏が管理する姪ナンの財産を全て株式に投資していたため、ナンは一文無しになってしまった。そんなこととつゆ知らず、ナンは歌とダンスに夢中だった。
ナンの元婚約者ラリーは、自ら率いるミュージカル一座にナンから投資させようとするが、彼女の秘書ポーリンが締まり屋なので上手くいかない。
ナンは一座の作曲家ジミーやダンサーのトミーと仲が良かった。ジミーがナンの歌を聞き舞台に立つことを勧める。ラリーは彼女が出資するのなら構わないと言ったため、ナンはマックスに頼んで金を引き出そうとする。だがマックスは、ナンが一文無しになったことを打ち明けられず、月曜午後10時までにナンが一度でも「イエス」と言ったら、金は出せないと答えてしまう。
ラリーの一座はナンのお屋敷で舞台練習をはじめ、ナンとジミーの仲も深まっていくが、ナンは求婚されても“イエス”と言えな買った。ラリーもナンに出資させるため愛を囁こうとするが、愛人のビアトリスに邪魔される。
ついに月曜午後10時になるが、マックスはナンに真実を告白する。金が用意されないことを知らされラリーは怒ってトミーに全てを譲って消え、求愛を断られたジミーも傷心のままニューヨークに帰る。
ところがポーリンが顧問弁護士のアーリー・ウィリアムズと結婚し、ミュージカルに出資したため、「ノー・ノー・ナネット」は開催される。ブロードウェイでナンは観客の喝采を受けて、ジミーやトミーと一緒に舞台で歌い踊った。
マックスは10年後にジミーとナンの子供たちにその話をしてあげている時、ジミーとナン夫妻がタクシーで帰ってきた。運転手は落魄したラリーだった。
雑感
ワーナーブラザーズ製作のミュージカル映画だが、MGMが得意とするミュージカル製作物語だ。ブロードウェイ・ミュージカル「ノー・ノー・ナネット」を劇中劇の形にして一工夫したのだが、話の筋に無理があったようだ。ドリス・デイと歌や踊りとS.Z.サコールの演技が際立っている。ワーナー時代のドリス・デイが最も輝いたのは西部劇ミュージカル「カラミティ・ジェーン」だった。奇しくも監督は同じデビッド・バトラー。
メイン・ダンサー役のジーン・ネルソンは、翌年「ブロードウェイの子守唄」でドリス・デイと共演する。ドリスとのコンビが期待されたゴードン・マクレーだが、5年後に20世紀フォックスでシャーリー・ジョーンズと「オクラホマ!」「回転木馬」で共演する。
主題歌「二人でお茶を」はドリス・デーのオリジナル歌唱と思われがちだが、初めは1919年に作られたミュージカル「ノー・ノー・ナネット」に1924年新たに追加された曲。当時大ヒットして3年後にはソ連にまで伝わり、大作曲家ショスタコビッチが管弦楽編成のために編曲している。
スタッフ
製作 ウィリアム・ジェイコブス
監督 デイヴィッド・バトラー
脚色 ハリー・クローク
原案 フランク・マンデル、オット・ハーバッハ、ヴィンセント・ユーマンス、エミル・ナイトレイ
撮影 ウィルフリッド・M・クライン
音楽 レイ・ハインドーフ
音楽監督 リロイ・プリンツ
振付 エディ・プリンツ、アル・ホワイト・Jr.
主題歌 「二人でお茶を」唄ドリス・デー、作詞アーヴィング・シーザー、作曲ヴィンセント・ユーマンス
キャスト
令嬢ナン ドリス・デイ
作曲家ジミー ゴードン・マックレー
ダンサーのトミー ジーン・ネルスン
秘書ポーリン イヴ・アーデン
演出家ラリー ビリー・デ・ウルフ
叔父マックス S・Z・サコール
アーリー弁護士 ビル・グッドウィン
女優ビアトリス(ビー) パトリス・ワイモア
新進女優マーベル ヴァージニア・ギブソン
執事スティーブンス クロフォード・ケント