監督 山中貞雄
出演 大河内傳次郎
喜代三
沢村国太郎
花井蘭子
丹下左膳は大岡越前のサブキャラクターだったが、隻眼隻腕の剣士という設定が受けて、スピンアウトした。
当初はニヒルな役だったが、作を重ねるにつれ、次第に正義漢へと変わっていく。
そして伊藤大輔監督が日活を辞めたため、若い山中貞雄に出番が回ってきた。
山中貞雄は従来の左膳像をパロディにして、この「百万両の壺」を見事に人情喜劇に仕立てた。
これ以後のチャンバラコメディに多大な影響を与えた作品である。
テレビドラマ「ぶらり信兵衛道場破り」でもあった、道場破りの八百長の原型がここで見られる。
喜代三(きよぞう)姐さんは小股の切れ上がった鹿児島の芸者さんだった。
しかし「鹿児島小原良節」をレコードに吹き込んでから、全国的に人気が出た。
その後、名曲「明治一代女」(作曲は大村能章)を大ヒットさせる。
映画でも活躍したが、中山晋平の後添いに入って引退した。
この作品でも独特な声で艶のある演技を見せてくれる。
丹下左膳余話・百万両の壺 1935 日活京都