世界各地の秘境に住む未開民族や人間と動物の関わりなどの奇習を、虚実取り混ぜて描いたドキュメンタリー(あるいはモキュメンタリー)。
監督のヤコペッティはジャーナリスト出身。この映画は当時、世界中で大ヒットして、以降第六弾まで作られた。
イタリアを中心に同様の映画も作られ、それらはこの映画のイタリア語題名に合わせてモンド映画と呼ばれた。
あらすじ
- ニューギニアの原住民は自分の子どもを死なせても豚に人間の乳を与える、そして五年に一度の肉食祭りを皆で祝う。
- 台北の犬肉レストラン
- フランスでフォアグラを作るため、ガチョウの肝臓を大きくするためにロートで食事を注ぎ込む。
- 日本の松坂牛にはビール大ビン10本を一日にムリヤリ飲ませて美味しくする。
- ニューヨークの高級ゲテモノ・レストラン
- マラヤ人は蛇をごちそうとして食べる
- サン・ドメニコ祭では蛇を首にかけて練り歩く。
- ビキニの放射能のおかげで無精卵を産み続けていずれ滅亡する海亀
- 東京温泉では半裸の女性が男性をマッサージしてくれる。
- シンガポールの「死の家」の前で待つ家族
- ロサンゼルス郊外の自動車墓地とスクラップ自動車のアート・ギャラリー
- チェコの美女の素肌で描く前衛絵画
- ネパール・グルカ族の祭りでは牛の首をちょん切る
- ポルトガルでは町ぐるみで闘牛を行い毎年死人が出る。
- ニューギニア・ゴロカ地方の閉鎖的な原始人
- 貨物飛行機を神様の乗り物だと崇める未開人。
など。
雑感
今となっては常識になったり類似の情報が出回っているから大したことはないが、当時としてはショッキングで残酷な映像の連続だった。
当時のホラー映画が定型化して飽きられていたときであり、ゲテモノ好きの観客は「事実は小説より奇なり」とばかりに飛び付いたのだ。
最近は未開人の情報はたまにバラエティで放送されるぐらいになった。人類学者からの要請で、未開人を文明化するのでなくそのまま保護しておくためだろう。
この映画は食文化の多様化、男女関係の多様性を描いた点で意味があった。やらせがあることに大した意味はない。民族それぞれに生き方、価値観があることをわかりやすくするための演出に過ぎない。
1970年代中頃になると、こういう映像は飽きられて、より刺激的なものを求める出した。モンド映画として殺人の実況映画(フェイクなのかわからない)なども作られるようになった。
その一方、「エクソシスト」以降の残酷表現を伴うホラー映画が隆盛を極めるようになった。
スタッフ
監督 グァルティエロ・ヤコペッティ
撮影 アントニオ・クリマティ 、 ベニト・フラッタリ
音楽 ニーノ・オリヴィエロ 、 リズ・オルトラーニ
編集 グァルティエロ・ヤコペッティ
製作 グァルティエロ・ヤコペッティ 、 パオロ・カヴァラ 、 フランコ・プロスペリ
[amazonjs asin=”B003N4STE4″ locale=”JP” title=”世界残酷物語 DVD”]
キャスト
ロッサノ・ブラッツィ 本人
グァルティエロ・ヤコペッティ ナレーター